子どもの笑顔と発展の熱気～カンボジア視察ツアー（２）

　福岡博多ライオンズクラブとデータ・マックスは13日から３泊５日、アンコール・ワット遺跡群を擁する都市・シェムリアップに滞在し、佐世保JCが寄贈したコーントライ中学校、データ・マックスが寄贈したトゥールポンロー中学校の卒業証書授与をはじめ、地雷博物館、日本語学校などの視察を行った。視察ツアーの様子をレポートする。

１日目夜：オニーサン、オニサン、オニーサン

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ナイトマーケット

　初日の夕食後、ナイトマーケットで買い物をしてみた。ナイトマーケットはホテルから川を挟んだ向かい側。ネオンサインで彩られたゲートをくぐり、マーケットに足を踏み入れる。所狭しと商品を並べたさまざまな商店が節操なく軒を連ねている。衣料品店の横に同じ商品を並べている別の衣料品店、その隣にまた同じ商品を並べている衣料品店、など。そうかと思えば、３ドルの小物雑貨を扱う横に、180ドルのすず製品を取り扱う店もある。その横では３ドルのフットマッサージも。商店街に一歩足を踏み入れると、八方から声をかけられる。

「オニーサン、ナニホシー？」「マッサージ３ドルヨ、オニサン」「オニーサンイケメンネ！」「ティーシャツイル」

　もう、まったくカオスである。店員の大きな声が響きまくる。とにかくオニーサンオニーサン。日本語、クメール語、英語が入り混じった、これまたカオスな言語が飛び交う。目が合えば寄ってくる。とにかく、すさまじい熱気なのである。
　マーケットで買い物をするときは、必ず交渉すること。それも妥協を許さず交渉すること。これはどうやら鉄則らしい。たとえば、私が購入した金属製の小さなフォークのセットの話しをしよう。店先に細工の細かい小さなフォークのセットがあった。私が商品に目を落とした瞬間、店員が寄ってきた。

「オニーサン、コレ、トテモイイ」
「そだね。きれいだね」
「オニサン、コレモアルネ、ズボンイルカ？」
「いや、ズボンはいらない。このフォークはきれいだと思うよ」
「OK。ANOTHER　ONE　アルー」
「いや、そこが金のやつは好みじゃない。この銀のやつがいいな。いくらだい？」
「OK。８ダラー」
「高い高い、話にならない」

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ナイトマーケットにはさまざまな店が軒を連ねる

　じつは私は、これと同じようなフォークのセットを、日本のアジア雑貨店でみていた。その時の値段は4,000円弱くらいだったと記憶している。つまり、約1,000円という値段は、本当に、まったく安い価格なのだ。しかし、それでも現地でのこの８ドルという価格は「万が一、値切られずに買ってもらえたらぼろ儲け」の値段なのである。高い、というとすぐに価格を提示してくる。

「７ダラー。オニサン、７ダラー。イチバンヤスイ」
「高いよ。１ドル安くなっても、とても買えない」
「OK、How much?イクラ？」
「２ドルだったら買うよ」
「NONONONO。５ダラー、OK？」

　あっさり、２ドル安くなった。こうした交渉を続けた結果、６ドルで同じものを２個手に入れることができたのである。いったん価格が決まれば、店員はほぼ絶対にごねない。気持ちよく買い物ができるのはうれしいところだ。おそらく、こちらが得したと感じた価格でも、向こうの掌の上なのだろう。

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ライブバー

　ナイトマーケットをぶらついたのち、飲食街「PUB　STREET」を巡る。ナイトマーケットとは川を挟んだ向かい側で、私たちが宿泊したホテルのすぐ裏手にあたる。無数のバイクタクシー「トゥクトゥク」が集まってきており、その運転手が客引きをしている。ナイトマーケットと違い、圧倒的にうざったい。というのも、この客引きたちは、延々とついてくるのである。まるでハーメルンの笛のごとく、通りを往復し終えるころには、見知らぬ人が自分の両サイドにぺったりと張り付いているのだ。無視をしようが、何をしようが、ついてくる。

　振り切るためもあって、私たちはストリートの端の２階にある音楽ライブバーに入った。ビール３ドルで大ジョッキサイズが飲める。1980年代のアメリカのヒット曲をバンドが生演奏してくれるバーである。客は西洋人が1/4、アジア系が1/4、地元の方が1/4、国籍不詳が1/4といった印象だ。音楽の質も高く、心地よい気分にひたりながら1時間半をそこで過ごした。
　満足してホテルへ帰ろうと階段を下りて驚いた。さっきの客引きがまだいたのである。

　結局、客引きを引き連れたまま、私たちはホテルへ戻り、シェムリアップ１日目を終えた。

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パブストリート

（つづく）
【柳　茂嘉】