極まった百貨店の凋落とセブン&アイ(後)
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視点を変えてセブン&アイを見れば
セブン&アイの主柱コンビニも飽和の罠がやってきている。商品の改革に加えて、利便性の付加、飲料やスナックなどの即消費品の品ぞろえ、多店舗展開によるアクセス改善、ATMや公共料金の支払いなどを付加して成長を続けてきたが、年間売上高11兆円を超えたところで国内業績の足踏みが表面化し始めている。
祖業の総合スーパーはコンビニに先駆けて飽和を迎えた。理由は生活者のライフスタイルの変化に鈍感で情報革新性が欠落していたからだ。チラシというハイロー戦術を繰り返すことで、変化対応力を失い続け、最後は「何でもあるが、買うものは何にもない」とまで揶揄されるような感動のない売場になり、それが今も続いている。
日本の大型ショッピングセンターはその多くが大手スーパーによって運営される。メインテナントは運営企業だ。専門店テナントと違い、いかに業績が不振でもそこを追い出されることはない。マネジャーはルーチンという檻につながれ、定期的に移動し、自らの責任で自らの将来をかけた改革をしたくてもできない。かつて無謀にも似た挑戦で業態成長をけん引した攻めのマネジメントはすでに時代錯誤だ。だから大型スーパーの再生もない。それを考えれば、セブン&アイの先行きは極めて深刻ということになる。そごう・西武の売却にはそんな事情も加わる。
ユニクロとダイソー、ワークマンの新たな試み
一方、いまだに創業者経営を続けるユニクロは、ある意味で変革が際立つ。かつて青果物小売まで試みたこともあるパイオニア的DNAで店舗の大型化、郊外から都心部への進出、海外への店舗展開、プライスラインの拡大、部門アイテムの拡大など、リスクを負いながらも自己変革を重ねている。アジアを中心に海外事業も順調だ。目下の競争相手は進出先国のカントリーリスクとアパレル世界最大手のZARAとH&Mの2社というところだろう。
ダイソーも同じように海外で店舗の大型化とプライスラインの付加で変革を試みる。相手は為替問題や現地大手のダラー・ゼネラル、ダラー・ツリーといった巨大1ドルショップだ。しかし今のところダイソーの評価は悪くない。ニトリや無印良品ができなかったアメリカで大化けする可能性もある。
国内アパレルの注目企業はワークマンだ。作業着からゴルフ系アパレルやグッズ、機能性アパレルなどユニークな品ぞろえで来店客が増えている。店舗数も間もなく4ケタを達成しそうだ。ワークマンの特徴の1つに売り切りの品ぞろえがある。従来のアパレルは売れるものに関しては売れなくなるまで店頭に在庫するのが普通だが、ワークマンではそれがない。人気商品は早めに買わないとすぐなくなる。かつて大型スーパーが販売利益の多くを過剰在庫の値下げで失ったことを考えると、画期的な思い切り商法だ。このやり方は商品企画部門に絶え間ない創意工夫と積極的な商品開発を促す。
この10年余り、消費の新陳代謝に同行できなかった企業、業態が消え、代わってオンラインを含む新たな小売業が現れるシーンが次々に展開されている。まさに今、我々はそれを目撃中である。
(了)
【神戸 彲】
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