『脊振の自然に魅せられて』「道標メンテナンス作業」(1)
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2008年から2013年の5年間で脊振山系早良区エリアの脊振山から三瀬峠まで、道標と登山地図を併せ70本設置した。西南学院大学ワンダーフォーゲル部のOBOG、早良区役所と行った道標設置事業である。毎週末、山に丸太を担ぎ上げスコップで穴を掘り道標を設置していった。実に大事業であった。
道標の支柱は間伐材の丸太に防腐剤注入を行ったものである。道標の方向を示すパーツも同じく防腐剤注入している。道標のパーツと登山地図は糸島市ファームパーク内にある、木工作業所のトンカチ館にて手づくりで行った。
設置場所は筆者が山を歩き目印をつけて行った。登山案内の方向を示す道標は、私の手書きのイラストを早良区役所の担当者が製図化した。それを基に、カーボン紙を木材の下に敷いて面取りをして電気鑿で彫りあげた。彫った文字に白ペイントを塗る。9月下旬の残暑のなか、時間のかかる作業だった。
参加したワンゲル部OBや早良区役所職員も黙々と作業にあたった。予定通り9月末の4日間で出来上がった。10月から毎週末に山に丸太を担ぎ、スコップをもって道標を設置して行ったのである。
設置作業にはワンゲル部の女子学生を含む現役たちとOBも加わった。新聞報道を知り高校の山岳部や福岡市スポーツ協会の登山学校の生徒たちも参加した。5年間でのべ350人の参加があった。
それから15年が経った。設置した場所によって湿気や日当たりが悪い道標の支柱が腐食していた。数年前に登山地図5カ所の支柱をすでに入れ替えた。そのとき、早良区役所が業者に予備として支柱10本を発注していた。予備の防腐剤処理した丸太は脊振の自然を愛する会の倉庫に保管した。
3年保管したので注入した防腐剤も乾燥し丸太は軽くなっていた。とはいえ、支柱の丸太(2m×10㎝)を山に担ぎ上げるには後輩学生たちの力がいる。10月初め、学生たちに11月下旬に道標の支柱を入れ替えるから手伝って欲しいと頼んでいた。
学生たちは11月5日に第18回脊振クリーンアップ登山にも7名が参加してくれた。その直後である。はたして手伝ってくれるのか。クリーンアップ登山の日に道標入れ替えに参加できるかとたしかめると11月23日、26日に4名ずつ参加できますとの返事だった。
道標の入れ替え場所は、三瀬峠―金山の中間地点のアゴ坂峠と稜線の猟師岩山(893m)の2カ所である。支柱の丸太は会員の軽トラで筆者も同乗し3日前に運んだ。丸太はシートに包んで保管した。朝露で丸太が濡れると重くなるし、担ぐときに汚れるからである。
11月23日、福岡市早良区の野河内渓谷無料駐車場に8時30分に集合し、三瀬峠へ移動した。筆者は副代表 Tと後輩会員 Oを乗せ集合時間30分前に、早良区脇山のワッキーで弁当を調達した。作業の参加者は筆者を入れて副代表ほか会員4名(女性会員1名)、学生2名(2人欠席)計6人である。天気は気温が高く晴れとの予報だったが、山では雲もあり風も吹き肌寒さを感じた。
登山口にデポしていた丸太のシートを剥がし、スコップ2本と道具類を手に登山道を歩いた。学生たちは初めての経験であったから、アップダウンの多い山道を丸太を担いで歩くのに苦労するだろうと思っていた。意に反し2人がかりで軽々と担ぎ、スタスタと筆者より早く山道を歩いた。
山はシロモジが黄葉しきれいだった。三瀬峠―アゴ坂峠間はシロモジの群生地である。初夏はシロモジの新緑がきれいな一帯である。心配した岩場の登山道でも要領よく丸太を下ろしていった。念の為、丸太を安全に下ろすためスリング(山で使う簡易用安全ロープ)を持参していたが、使う必要はなかった。1時間近くで静かなアゴ坂峠へ届いた。
(つづく)
脊振の自然を愛する会
代表 池田友行関連キーワード
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