2024年12月27日( 金 )

ロバート・ケネディJrは大統領の座を射止められるのか?(後)

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国際未来科学研究所
代表 浜田 和幸

 2024年11月、アメリカ大統領選挙を迎える。通常であれば現職大統領は2期目を目指すが、バイデンの再選可能性は揺らいでいる。そんな中、トランプや共和党候補者、民主党を割って出馬の意欲を示すR・ケネディJrの動向に注目が集まっている。

トランプ×RケネディJrもあり得る?

アメリカ大統領選挙 イメージ    いずれにせよ、アメリカでは経済格差が進み、国家の分裂状況が悪化し、国家の存続の危機に晒されているにもかかわらず、効果的な対策を打ち出せない現在の政治に切り込むと宣言して出馬を宣言したわけです。

 現時点では有権者の間では20%程度の支持率ですが、バイデン大統領の失策続きに有権者離れが起きており、ケネディ・ブームが起きる可能性も否定できません。なぜなら、初戦が予定されているアイオワ、ニューハンプシャー州ではバイデンよりケネディ・ジュニアの支持率が高いからです。

 ケネディ候補を支援するPACは短期間で1,000万ドルを集めました。危機感を覚えたバイデン大統領はSNSを通じてケネディに関するフェイクニュースを拡散させています。しかも、バイデン大統領は民主主義の象徴でもある候補者同士の公開討論会を拒絶。

 トランプ前大統領は「ロバートは非常に良い奴だ。彼の心は正しい所にある」とべた褒めです。当然、トランプとケネディ・ジュニアがタッグを組めば「ドリーム・チーム」もあり得る話ですが、ロバートは「あり得ない」と拒絶しています。とはいえ、政治の世界では一寸先は闇。要は、何でもありの世界ですから、土壇場でのどんでん返しもあるかも知れません。

ワクチン問題とアメリカの政治不信

 コロナ・ワクチンに関しても、「製薬会社はワクチン販売で年間8兆円の儲けを生み出していながら、ワクチンの副作用に対する治療薬でさらに68兆円もの利益を計上している」と、政治と製薬業界の癒着という不都合な真実を糾弾。

 とはいえ、彼を有名にしたのは「コロナ・ワクチン反対運動」の急先鋒として、「ワクチン接種は個人の自由な判断に委ねるべきで、政府が強制すべきではない」との論陣を張ったことです。首都ワシントンで開催された「ワクチン反対集会」でも演説し、「政府がワクチン接種を強制しようとしており、我々はナチスの迫害から逃れようとしたアンネ・フランクより厳しい環境に置かれている」と述べました。

 しかし、この発言には各方面から批判が殺到。ハリウッドの女優出身の夫人からも「夫のことを愛しているが、アンネ・フランクを引き合いに出すのは如何なものか」と、突き放されてしまい、結局、謝罪することに。脇の甘さもあります。

 とはいえ、当初は泡沫候補と見なされていましたが、バイデン大統領やトランプ前大統領のスキャンダルが鰻登りのため、ケネディ・ジュニアへの関心と期待が急速に高まってきていることも事実です。彼の得意とする歯に衣着せぬ物言いが、どこまで有権者の気持ちを惹きつけることができるのか。国民の政治不信が蔓延するなか、大いに見ものだと思います。

(了)

浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
    国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。近著に『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』、『世界のトップを操る"ディープレディ"たち!』。

(中)

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