福岡城・鴻臚館市民の会主催、石垣から見るガイドツアー~福岡城に見えた大きな可能性
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NPO法人福岡城・鴻臚館市民の会が主催するガイドツアー「石垣から見る福岡城」が2月4日に行われた。同会は鴻臚館・福岡城の復元や整備の促進、イベントの開催といった活動を通して、「文化遺産を活かしたまちづくり」の普及や次世代への継承を図っている。
福岡城は、無敗の名軍師として知られる黒田如水の子である福岡藩初代藩主の黒田長政が築城した平山城だ。城の総面積はおよそ80万m2。1957年に国の史跡に指定され、舞鶴公園として市民の憩いの場となっている。
本ツアーには60〜70代を中心におよそ20人が参加。今回のツアーでは、福岡城の防衛の要であり、築城の基礎である「石垣」に焦点をあてて、ガイド・協力員の案内のもと、福岡城の往時の姿を探索した。
集合場所は舞鶴公園内にある福岡城むかし探訪館。心配されていた雨もあがり、出発するころには雲間から青空が覗くようになった。紫色の法被を纏ったガイドの先導で、各所の石垣を見ながら上之橋御門(明治通り天神方面)から天守台を目指し、下之橋御門(明治通り大濠公園方面)へ向かう。途中ガイドの説明で、櫓が建てられる石垣の隅角部などを強固にする算木積と呼ばれる技巧が、現代の高速道路建設にも応用されているという話や、城の出入り口の防衛を強化するために知を尽くした虎口構えと呼ばれる配置などの話を聞いて、参加者は感心することしきりだった。
額に汗を輝かせて熱心に解説を行うガイドの話に耳を傾けながら歩を進めると、天守台に到着した。標高36mの天守台上に設けられた展望台からは、福岡タワーや天神の街並みを一望できる。ツアー参加者以外にも外国人観光客などの姿も散見され、観光地としてのポテンシャルを感じた。天守台上には40もの礎石が残されており、天守閣が実在していたかどうかははっきりとしたことは分からないようだが、もし天守閣が存在していたとすれば、それらの礎石や石垣を通してその巨大な威容が眼前に浮かぶような気がした。江戸時代始めに築城された福岡城は実際には戦火に晒されることはなかったが、戦乱の世にあれば難攻不落の城であったことだろう。
黒田如水・長政親子は、大陸との交流の窓口としての深い歴史と、経済の要所である博多湾を臨むこの地に新たに城を築き、「福岡」という名をつけた。今日においても、福岡という地の重要性はアジアからの観光客や、都市の再開発などによってますます高まっている。アジアの玄関口としての深い歴史の上に築かれた福岡城は、福岡という都市を象徴するランドマークとなり得る可能性を備えている。
福岡市は今年3月の「福岡城さくらまつり」の開始に合わせて“幻の天守閣”をイメージした仮設工作物を期間限定で設置・ライトアップを実施する予定だ。若者をはじめ都市の内外へ福岡城をアピールする好機だと市は考えている。天守閣再建の是非がたびたび話題になる福岡城。福岡城・鴻臚館市民の会や福岡市が、石垣のように積み重ねている地道な取り組みの数々が、いつか天守閣再建へつながることを期待したい。
【若松 大生】
法人名
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