2024年12月22日( 日 )

税理士の未来を見据えた人材戦略で業界の最先端を走り続ける

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

アップパートナーズグループ

 同グループは約340名の従業員で、約2,800社のクライアントをサポートする西日本最大級の税理士法人グループ。税理士をはじめとした有資格者や経営コンサルタントを擁し、会計・財務などの経営面からIT化の支援まで幅広く顧客ニーズに対応する。DX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進む業界で最先端をひた走る同グループは、どのような税理士の未来を思い描くのか。

社員に合わせた人材戦略 柔軟な勤務体制と給与制度

会社エントランス
会社エントランス

    現代の企業においては、事業継続のための人材戦略がますます重要になっている。そして、社員が定着するためには、働きやすい企業であることが求められる。

 女性が多い税理士業界において、同グループは女性が働きやすい環境を整えるための制度を導入している。まず、同グループでは育児休暇から復職後、子育てのためにパート勤務を希望する社員は、産休前の給与を基に設定した時給で働くことが可能だ。たとえば、35歳で産休前に年収が800万円だった社員が、復職時にパート勤務を希望する場合は、800万円から割り出された時給で働くことができる。仕事量は減っても仕事内容は変わらない。いわゆる同一労働同一賃金を実現している。もちろん正社員を希望すれば、戻ることも可能だ。

 また、同グループは、コロナ禍が落ち着いた後も週2日のリモート勤務を可能にしている。3日の出社で社員同士の対面での交流を確保しつつ、働き方の柔軟性を提供する。

 働く人に優しい企業を目指す同グループは、その試みを社外に対しても実践している。その1つとして、請求書の発送業務を障がい者施設に委託し、就労支援を行っている。また、介助犬の育成支援や、引退した競走馬のための牧場支援なども行っている。これらの活動は、会社全体に助け合いの意識を根付かせる一助となっているかもしれない。

DXの進展とニーズへの対応

 同グループは、顧客企業のDXを支援することを重要なミッションとしている。そのため、顧客の業務スキームを可視化し、DXのフローに落とし込むための専門的な能力をもつ社員の育成に取り組んでいる。

 顧客がすでに導入している会計ソフトにも対応しつつ、その現状を分析してさらなる業務の改善に向けた提案を行うなど、同グループは、顧客から高度な能力を求められている。顧客のなかには、経理に関わるすべての業務をできれば同グループに任せたいという企業も数多くあるという。それは経理担当者の採用がますます難しくなりつつある現実を背景としている。それに対して同グループは、税理士にとどまらない幅広いスタッフ陣で顧客にトータルな課題解決策を提案し、顧客ニーズに応えることで、成長を続けている。

未来の税理士の姿 求められるのは人間力

菅拓摩代表
菅拓摩代表

    税理士や経理の仕事は、将来的にAIによる置き換えが最も行われる仕事の1つと目されている。すでに会計ソフトも目覚ましく進化しており、全面的にAIが実装された会計システムが一般化すれば、税理士の仕事の多くは、AIが行うようになるだろう。それらの仕事をもはや税理士がする必要はなくなる。では、税理士そのものがなくなってしまうのか。代表の菅拓摩氏はそうではないと考える。

 「AIがどんな提案を行うにしても、顧客は人間ですから、あくまでも人間として顧客に寄り添って、助言や提案、判断を行う存在が必要です。そのような役割をはたすことを税理士は求められるようになるでしょう」。

 たとえば、AIが顧客に対してA、B、C案を提案する。それらの提案は優れたものかもしれない。だが、顧客の事情を人間的に理解しなければ、的確な判断をサポートすることはできない。また、企業の利益の使い方、資産運用、資金繰りにおいても、AIを活用しつつ、人間として的確な判断のサポートができる税理士が求められる。それは別の言い方をすれば想像力のある税理士が求められるということだ。「このセクションとこのセクションをつないだらこういう仕事ができる」「D社の社長はこういうことで悩んでいるから、Eさんを紹介したらうまくいくんじゃないか」想像力で顧客の悩みを解決する力が、未来の税理士には必要だと菅氏は語る。

さまざまな経験をもつ人材の重視
未来の税理士を育てる企業

応接室
応接室

    同グループは新卒既卒に拘らず、さまざまな世界を経験してきた人材を重視する採用方針を掲げている。菅氏は、「最終的に税理士に求められるのは人間力」と述べ、コミュニケーション力、エンターテイナーのような気質、イベントの主催経験や世界一周の経験など、人間的な魅力を重視するという。そして自社の20代の社員には、「貯金なんかするな、自分のためにお金を使え」と言っている。「今使ったお金が10年後に10倍になって返ってくる。AIの時代だからこそ、そのために自分を磨く投資が必要です」(菅氏)。

 同グループは未来の税理士像を見据えて、そのための人材戦略と社員の育成に力を入れている。社員が働きやすい環境を提供しつつ、社会に貢献し、そのことが企業の持続的な成長に最も重要であると理解しているからこそ、同グループはそのような取り組みを続け、最先端の企業として走り続けている。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:菅拓摩
所在地:福岡市博多区博多駅東2-6-1
    九勧筑紫通ビル9F
設 立:2006年9月
資本金:6,600万円
TEL:092-403-5544
URL:https://www.upp.or.jp

関連キーワード

関連記事