社員の企画力や行動力向上にも寄与 福祉への「想いを伝える」動画コンテスト
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(株)スエナガ
「大きな福祉のまちづくり」をコンセプトに、福祉関連施設を建設・運営する(株)スエナガ。同社では福祉の大切さを世に広げるため、「動画コンテスト」というユニークなイベント開催に注力している。それは学生や教育委員会など幅広い関係者を巻き込むほか、社員の企画力や行動力を高める契機となっている。
九州初のホスピス住宅 オープンを契機に
(株)スエナガは昨年12月初旬、九州初のホスピス住宅「ビーズの家」(城南区南片江、運営は(株)beads)をオープンした。ホスピス住宅とは末期がんや難病などで自宅や病院での暮らしに不便のある人が、緩和ケアを受けながら自宅のように日常の延長として生活できる施設のことをいう。日本では終末期医療において緩和ケア病棟が主流だが、質の高い終末期の生活を望む人たちやその家族からの入居ニーズが高まっていることを受けたものだ。オープン前の12月9日にその内覧会を実施し、そのメインイベントとして行われたのが「第1回動画コンテスト」である。
自社やホスピス住宅のPR動画を社員や障がい者グループホームの職員、協力事業者、さらには高校生や大学生、専門学校生らが1分間にまとめ、その内容を競い合うもの。全15チームが参加し、会場を訪れた地域の人々や関係者に披露した後、制作にあたって工夫したことなどをそれぞれの言葉で説明していた。各賞を受賞したチームには賞品などが授与され、好評のうちに幕を閉じた。
教育委員会も参画へ
今年11月に第2回コンテストの開催が予定されているが、これは第1回とは趣を異にする。参加チームを高校生・専門学校生・大学生に絞り、共通テーマを「障がいがあるってどういうこと?」とするなど自社PRを切り離した。これにより、九州産業大学(発表会場を提供)、さらには若者が福祉に興味をもつキッカケになるとの判断から、福岡市の教育委員会ともタイアップすることが決定している。入賞作品は教育委員会の小学生向けの学習動画にも採用されるほか、スエナガが西鉄・大橋駅近くに設けた大型シースルーサイネージ(昨年12月に設置)でも放映されることになっている。
動画コンテストの仕掛け人である同社の三喜英明専務取締役は、「事業のなかで社員のコミュニケーション能力、自分たちの想いを相手に伝える力が非常に重要になっている。コンテストはその能力の向上を狙いとし、第2回はさらに能力を高める機会と位置づけました」と話す。今回は予選も行うため、参加校、参加チームを増やすべく、社員が自ら学校を訪れ説明に走り回っているのだという。
採用活動でも成果
コンテストの実行に向けた取り組みは、他の業務にも好影響を与え始めている。その1つが採用活動だ。介護福祉業界は慢性的な人手不足にあり、それはスエナガが福岡市内9カ所で開設・運営する障がい者グループホーム「YOKATOKO」も例外ではない。
そこで、本社の女性社員が中心となって、同社の近隣にある堤団地や住宅地の住民をターゲットとした「お仕事相談会」を4月に開催。3人のパート従業員の採用にこぎ着けた。団地だけでも約900戸になるが、個別訪問、開催案内のチラシのポスティングを行い、相談会の会場づくりや説明も自ら実施した。
出口洋一代表取締役は「パートさんが集まらないと聞きつけた総務部の女性社員が『仲間が困っているから』と稟議書をつくり提案し、他の社員を巻き込み実現、成果を上げた取り組みです。採用のための経費はこれまで専門業者に依頼するのに比べて大幅に少なく、さらに女性社員の結束力の強さにも驚かされました」と述べていた。
単なる業務報告ではなく、それに「想い」を込めることで、多くの人々の心を動かし、組織が一丸となって動き出したという事例である。このことは、スエナガにおいて社員1人ひとりが責任感や問題意識をもちながら、地道に業務を行うという企業風土ができつつあるということであり、企業の永続化に大いに貢献するに違いない。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:出口洋一
所在地:福岡市城南区堤1-13-30
設 立:2014年7月
資本金:3,700万円
TEL:092-874-4545
URL:https://sda-suenaga.co.jp法人名
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