中堅企業元年、迫る中小企業の大淘汰時代 従業員数300人以上を目指さないリスクが顕在化
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2024年3月、日本政府は「中堅企業元年」として、中堅企業の成長を促進する新たな政策を打ち出した。この政策では、従業員数300~2,000人の中堅企業に対し、資金援助やDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入支援を通じ、国内投資や生産性向上を目指す。とくに、工場新設や設備投資には最大50億円の補助金が用意されている。また、賃上げや良質な雇用の創出が求められており、地域経済の活性化も期待されている。
一方、中小企業にとっては淘汰の時代が迫っている。少子高齢化による人材不足やDXの未整備が主な課題で、約60%の中小企業がデジタル技術の導入に遅れを取っている。この遅れが生産性や国際競争力の低下につながり、競争力を失った企業は市場から排除される可能性が高い。加えて、優秀な人材を確保できない企業も経営存続が危ぶまれる。
少子高齢化が進む日本において、人材不足は深刻な問題だ。優秀な人材を確保できない中小企業は、経営の存続が危ぶまれ、結果的に市場からの退出を余儀なくされることは間違いないだろう。政府は賃上げを促進し地方での雇用を創出するため、中堅企業への投資を集中させているが、中小企業にはその波及効果はまったく期待できない。
政府方針に沿って考えると、事業規模を拡大できない中小企業に対しては、もはや支援の余地はほとんど残されていないように見える。政府が目指すのは、成長可能な中堅企業の育成であり、残された中小企業には淘汰の波が迫っているようだ。おそらく、手当されるのは破産や倒産に対する処理の迅速化と、それにともなう規制緩和が主な対策となるだろう。
中堅企業への支援が進むなかで、中小企業が生き残るためには、DX導入による効率化や人材確保のための戦略的な改革が不可欠である。現状維持に固執するのではなく、デジタル技術やリスキリングの導入を進め、競争力を強化することが求められる。そして何よりも事業規模の拡大は時代の要請である。とくに、賃上げや業務改善を進めることで、競争に打ち勝つ基盤を整える必要がある。中小企業にとっては、今こそパラダイムシフトからの組織変革を実行する決断が求められる時期に差しかかっている。
【児玉崇】
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