韓国ロッテ危機説の真相は(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏噂で株価暴落
ガムやチョコレートを販売するなど、日本人にとって馴染み深いロッテグループは、韓国においてはデパート、スーパーなどの流通業を中心にホテル業、ケミカル事業などの事業を展開している。野村證券出身の現会長のリーダーシップの下でM&Aを繰り返し、事業を拡大してきた韓国ロッテは、韓国財界6位にランクするまでに成長を遂げた。しかし、近年はネット販売へのシフトなど、流通市場の環境変化に迅速に対応できず、業績が低迷している。
また、グループ全体の売上高の3分1を生み出していたロッテケミカルが基礎化学中心の事業モデルから抜け出せないなか、中国発の供給過剰で赤字にあえぎグループ経営に赤信号が灯っている。
そのような状況下、 一部のYouTubeチャンネルに「ロッテグループ空中分解の危機」と題された動画が投稿され、その内容をもとにした噂が証券市場やオンラインコミュニティで急速に広がった。それによって株価下落などの悪影響があったが、現在は鎮静化している。グループ側は、「噂は『事実無根』であり、ロッテグループは56兆ウォンほどの資産をもっているので、流動性危機はあり得ない」と釈明した。ロッテグループがすぐに危機に陥るような状況ではないにしても、主要子会社の業績不振や財務健全性の悪化が確認されており、根拠のない噂でもないと専門家は分析している。
韓国株式市場におけるロッテホールディングスの株価(11月18日)は前日より6.59%下落の2万55ウォンとなった。ロッテケミカルは10.22%下落の6万5,900ウォン、ロッテショッピングは6.6%下落の5万8,000ウォンで取引を終えるなど、ロッテグループの主要企業は噂の影響で軒並み株価が下落した。
危機の真相は
ロッテグループはM&Aを繰り返し、事業を拡大してきた。ところが、米国の高金利、ウクライナ戦争勃発による原材料費の高騰、米中の衝突など、事業の外部環境は厳しさを増している。その結果、ロッテグループの2本柱であるケミカル事業と流通事業が低迷している。
ロッテケミカルの今年第3四半期連結基準の売上高は5兆2,002億ウォン、営業損失は4,136億ウォンを記録。2015~19年は毎年1兆ウォン以上の営業利益を計上していたロッテケミカルだが、今年は1~3四半期の累計損失だけでも6,600億ウォンを超えている。
ロッテケミカルは国内株式市場に上場しているロッテグループのなかで時価総額が最も高く、新型コロナウイルスが発生した20年から3年間、系列会社のなかで最も多くの売上高を計上している。
グループ全体の売上の3分1を占めているロッテケミカルだったが、中国企業による供給過剰で業績悪化にあえいでいる。そのような状況下にも関わらず、インドネシアの超大型石油団地の造成とロッテマテリアルズの買収、 ロッテ建設への資金支援などが重なって負債が膨らみ、金利負担も大きくなっている。
(つづく)
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