第二次トランプ政権で世界はどのように変わるのか(3)
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鹿児島大学名誉教授
ISF独立言論フォーラム編集長
木村朗NetIB-NEWSでは、ISF独立言論フォーラムのISF通信を掲載している。
今回のISF通信では、1月20日に正式発足するトランプ政権がどのようにアメリカと世界を変えようとしているのかを検討している。3.第二次トランプ政権は何から優先的に取り組むのか
トランプ氏は1月20日の大統領就任当日に200以上もの大統領令に署名する準備を進めていると伝えられている。そのなかで注目されているのが、以下の問題である。
【国家非常事態宣言と不法移民の強制送還の実施】
共和党の政策綱領で示された、速やかに達成する20の約束では、「国境を封鎖し、移民の侵入を阻止する」「米国史上最大の強制送還作戦を実行する」が最初の2つに掲げられており、移民政策を重視する姿勢がみられる。トランプ氏はこの移民政策を実施するにあたり、国家非常事態宣言を発表して軍隊を国内に投入することを明らかにしているのが注目される。この移民問題に関連して人身売買・小児性愛事件へ関与した犯罪者の追及・逮捕も行われるのかが注目される。
【連邦議会議事堂襲撃事件での恩赦実施】
2021年1月6日の米国連邦議会議事堂襲撃事件に関連して現在も拘束中の人々への恩赦の即日実施を表明している。すでに昨年12月27日に、2021年1月6日の米国連邦議会議事堂襲撃事件に関連して拘束された100人以上の被告が、米国司法省に対して500億ドルの集団訴訟を提起しています。トランプ・共和党陣営は、この連邦議会議事堂襲撃事件は民主党主導で行われたものであり、当時のトランプ大統領の煽動によって引き起こされたものではないと主張してきた。この問題の再調査と事件全体の見直しがされることは間違いない。
【WHOからの脱退と新型コロナ・ワクチン政策の転換】
トランプ氏は前政権時にも行ったWHOからの脱退を就任当日にも実施すると明言している。また厚生省長官に指名したロバート・F・ケネディJr.氏に、これまでの誤った新型コロナ・ワクチン政策からの根本的転換を全面的に委ねる意向を示している。
ケネディ氏は、トランプ氏に指名された昨年11月14日に「これらの機関を金ぴかの科学的調査の伝統と透明性の指標に戻し、慢性疾患の流行を終わらせ、アメリカを再び偉大で健康な国にするだろう!」と語っている。【中国への強硬政策を積極的に推進】
トランプ大統領は就任直後に、中国の経済的・軍事的台頭に対抗するための新たな政策方針を発表する可能性がある。これには、中国製品に対する60%もの高関税の実施、貿易制裁の強化などが含まれる。
【ウクライナ戦争の終結に向けた取り組み】
トランプ大統領は就任直後に、ウクライナとロシアに対し即時停戦と和平交渉の開始を強く促す声明を発表する可能性がある。また 米国主導で国際会議を開催し、ウクライナとロシアの代表者を招いて和平交渉の場を設けることが考えられる。ただトランプ氏は就任当日に24時間以内で解決すると豪語していたが、最近になって6カ月はかかるとトーンダウンしている。
【イスラエル・パレスチナ問題に向けた取り組み】
イスラエル政府は1月18日、イスラム組織ハマスと合意したガザ地区での今月19日からの6週間の停戦と人質解放の枠組みについて正式に承認したと発表した。この停戦合意の背景には、トランプ氏の強い働きかけがあったとされる。今後、この合意が着実に履行されるかが当面の焦点となっている。
この他にも、エネルギー政策や地球温暖化対策、メディア改革、教育改革など多くの課題・テーマがあるが、ここでは割愛させていただく。
(つづく)
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