【異色の芸術家・中島氏(14)】アトリエ・メモランダム
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絵画、一人演劇と1つの分野にとどまらず活動し、ニューヨークに加えドバイへも活躍の場を広げようとしている異色の芸術家・中島淳一氏。この1年ほどは高さ4mという大型の作品を含む新作を描き続けており、それらを展示する個展「夜明・ラプソディシリーズ」がいよいよ明日13日から開催される(18日まで)。その中島氏から送られてきた「アトリエ・メモランダム」を以下に紹介したい。
1975年、秋。ヒューストン。アン・ミラー教授に同行し、ピューリッツァー賞にノミネートされたこともあるアメリカの著名な現代詩人ヴァサー・ミラーの自宅を訪ねた。
夕食の席で、彼女が私の長い黒髪が美しいと言ったので、「黒は死の象徴です」と言ったら、笑いながらこう言った。芸術家は好きになれば、それが何であろうと、誰であろうと、たとえ、そのことで世間の人が何と言おうと、恋に落ちる人間だと思う。別の言い方をすれば、芸術家は子ども同然ということ。というのは、子どもは熱しやすく冷めやすいという嫌疑をかけられているから。賢ければ、そういった非難を無視するだろうし、幸運な場合は罪人扱いされるかわりに芸術家として賞賛されるかもしれない。
ヴァサー・ミラーの言う通り、詩でも絵でも演劇でも恋愛のようなものなら、時間や空間に関係なく、思いがけない収穫が期待できるというものだ。あの日、夕食後、赤ワインの力を借りたとはいえ、大胆にもヴァサー・ミラーの前で数編の自作の英詩を朗読した。彼女は1998年に亡くなったが、あの青春の日の祝福された時空の輝きは今も色褪せてはいない。
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