税理士の突然の廃業に会計ソフトの落とし穴?(前)
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複数の企業を相手取り、会計ソフトの使用料などの支払いを求める少額裁判が起きた。訴えを起こしたのは、元税理士が代表、現役の税理士が役員を務める企業。発端は、顧問先を100社ほど抱えていたといわれる元税理士の突然の廃業にあった。
顧問契約終了後も使用料が発生会計ソフトの使用料などの支払いを求めて、複数の企業を訴えているのは福岡市博多区堅粕4丁目に本社を置く(有)キャリア・スタッフ。同社の現代表取締役は、昨年(2014年)6月末に九州北部税理士会博多支部を退会した穂積繁子(ほづみ・しげこ)氏。税理士法は第18条で、税理士の資格を有する者の税理士業務について日本税理士連合会の税理士名簿への登録を必須と定めており、税理士会の退会は、事実上の廃業を意味する。穂積氏は、税理士を廃業した後の14年7月1日に同社取締役に就任し、同年9月1日に代表取締役に就任した。
会計ソフトは、顧問契約があった頃、顧問先との間で使用する目的で導入されていた。実際に、キャリア・スタッフから請求を受けた企業の1社(以下、X社)によると、基本契約料6万円、初年度使用料5万円、導入支援サービス料1万円で、初年度使用料は消費税込で計12万6,000円になったという。X社の場合、この額に、次年度の年間使用料のうち数カ月分を加えられた十数万円の金額が請求された。
X社は、キャリア・スタッフから内容証明郵便で寄越された請求書に強烈な違和感を覚えた。それというのも、X社は契約期間中、たしかに穂積氏に顧問料を払っていたのだが、この会計ソフトの使用に関しては費用が発生するという認識がまったくなく、したがって同氏との顧問契約解除後も引き続き会計ソフトの使用料が発生しているとは思っていなかったからだ。納得がいかないX社は支払いを拒み、キャリア・スタッフから少額裁判の訴訟を起こされるに至った。
訴えられた元顧問先の企業には、キャリア・スタッフの穂積代表に対して、突然に税理士廃業を告げられたことに対する不満もあった。廃業に関する連絡には、税理士業務を穂積氏が「昭和63年来のパートナー」とする篠原三子雄(しのはら・みねお)税理士に承継するといった内容が含まれており、「もちろん、ご了承を頂いた上での話です」として、顧問契約を篠原税理士に引き継ぐことも含められていた。「顧問契約中に、突然、『辞めます』と言われ、よく知らない税理士を紹介されて困惑した」というX社は、その提案を断り、他の税理士を探したという。なお、篠原税理士は、キャリア・スタッフの取締役である。(つづく)
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