仕事と介護の両立支援制度の強化
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岡本弁護士 前号では、今年4月1日から段階的に施行される育児・介護休業法の改正内容のうち育児に関する内容をご紹介しました。今回は、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等についてご紹介いたします。
超高齢化社会といわれる現在、高齢者人口の増加とともに、介護保険制度上の要支援・要介護認定者数は増加しており、今後、同じ傾向が続くことが見込まれます。介護者は、働き盛り世代で、企業の中核を担う立場であることが多いにもかかわらず、介護と仕事の両立ができず、離職される例も少なくありません。労働者にとって不利益なだけではなく、事業者にとっても貴重な戦力を失うことは大きな損失といえます。
そこで、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度として、現在も次のような制度があります。
介護休業:介護の体制を構築して、働きながら対応できるようにするために、要介護状態にある対象家族1人につき、通算93日、3回まで分割して取得可能
介護休暇:対象家族の介護・世話をするため、介護終了まで年間5日(対象家族が2人以上の場合は10日)取得でき、1日単位または時間単位で取得可能
所定外労働の免除(残業免除)
時間外労働・深夜業の制限:1カ月24時間、1年150時間を超える時間外労働の制限や深夜業(午後10時~午前5時)の制限
選択的措置義務:事業主が利用開始から3年以上の期間で、2回以上利用可能な措置(短時間勤務・フレックスタイム・時差出勤・費用助成のいずれか)を利用できる措置を講ずる義務今回の改正法では、仕事と介護の両立支援制度の強化として、事業主に次の措置義務が課されます。
①労働者が介護に直面したとの申出をした場合に、両立支援制度の内容等に関する情報の個別周知と利用等の意向確認をすること
②介護に直面する前の早い段階(40歳等)での両立支援制度等に関する早期の情報提供
③介護休業や両立支援の申し出が円滑にされるように、研修や相談窓口の設置等の雇用環境の整備また、介護休暇について、勤続6カ月未満の労働者を労使協定により取得対象から除外できていたものが、改正法により除外できなくなります。これによって、就職したばかりの労働者でも、一律に介護休暇の取得が可能となります。
さらに、要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう、事業主に努力義務が課されることになりました。
以上の通り、従前の制度の強化や新しい制度の導入などがありますので、早めに検討されて、就業規則等の社内規程の整備や制度の周知などの取り組みが必要になります。
<INFORMATION>
岡本綜合法律事務所
所在地:福岡市中央区天神3-3-5 天神大産ビル6F
TEL:092-718-1580
URL: https://okamoto-law.com/
<プロフィール>
岡本成史(おかもと・しげふみ)
弁護士・税理士
岡本綜合法律事務所 代表
1971年生まれ。京都大学法学部卒。97年弁護士登録。大阪の法律事務所で弁護士活動をスタートさせ、2006年に岡本綜合法律事務所を開所。経営革新等支援機関、(一社)相続診断協会パートナー事務所/宅地建物取引士、家族信託専門士。ケア・イノベーション事業協同組合理事。月刊まちづくりに記事を書きませんか?
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