自民党との関係を背景に業界利益を追求
これまで当社では、全管協名誉会長・高橋誠一氏が、自民党ちんたい支部連合会会長、全国賃貸住宅経営者政治連盟会長として、与党自民党と近い関係にあることや、全管協の会員企業やその代表者が、自民党の党員勧誘活動に際して本来党員となる個人が支払うべき党費を負担している実態について、政治資金規正法上の寄付行為にあたる可能性があること、そして、全管協名誉会長として政府与党幹部と面会した際、自身が経営する企業が販売権を有するごみ処理プラントの営業活動を行ったことなどを報じてきた。
6月15日発売の『週刊ポスト』(小学館)2026年6月26日・7月3日合併号が「茂木外相が総裁選ですがった『自民党員水増し団体』」とのタイトルで自民党有力政治家と全管協の自民党員獲得や総裁選での支持をめぐる関係性を報じた。
業界団体が政権与党である自民党と関係性をもつこと自体は問題とはいえないが、政治と業界の癒着は公正公平な政治という観点で見た場合、公益がないがしろにされる側面があることは否めない。全管協と自民党との関係を取材していくなかで、賃貸住宅の消費税課税を免除する措置が継続してきたことを報じてきた。業界団体は多くの場合、複数の業界利益の維持・獲得を掲げており、全管協の場合も同様である。
取材を進めていくなかで、全管協加盟企業のある代表者は、自民党員問題だけではないと述べたうえで「全管協は任意団体ですが、協会が運営する保険会社などのグループ企業や共済事業として全国賃貸住宅修繕共済(協)があり、修繕組合の会計について加盟企業から疑義が出されています」と語った。
ちんたい議連が後押しした修繕共済制度
全国賃貸住宅修繕共済(協)(以下、「修繕組合」)とはどういう団体なのか。18年1月に自由民主党賃貸住宅対策議員連盟(ちんたい議連)総会において、賃貸住宅における大規模修繕積立金を課税対象外にすることが決議されたことから始まり、21年3月に全国賃貸管理ビジネス協会(全管協)内に認可申請プロジェクトが設置された。
その後、21年9月に、全管協は東京国税局から「共済掛金の損金算入」を認めるとの回答を得て、21年10月に国土交通省から「賃貸住宅修繕共済」の制度認可を取得し、翌月修繕組合を設立し、22年4月から販売を開始した。パンフレットを見ると、同共済は賃貸住宅の外壁や共用部、屋根の修繕工事をまるごと補償することを謳っている。
この間の政治的な動きはどのような動きであったのか調べていくなかで、21年11月16日に自民党本部で開催されたちんたい議連の臨時総会において、高橋誠一全管協名誉会長(当時・会長)が次のような発言をしていた。
「賃貸住宅の大規模修繕積立金を損金算入する共済制度は、民間住宅ストックを効果的に整備し、経済を活性化させるため必要不可欠。本年の制度創設に加え、来年はその適用範囲を拡充してほしい。ちんたい支部連合会の党員3万5,000名が力強い後押しとなる」。
高橋氏の発言を受け、ちんたい議連の石破茂会長は「今般、大規模修繕積立金の損金算入制度の実現という大きな成果を上げることができた。今後はこの制度をどのように活用していくかが重要」と述べていた。
なお21年は自民党総裁選が行われたが、菅義偉首相は不出馬で、この時石破氏は立候補していない。石破氏の党内基盤の脆弱さによるもので、石破氏は、河野太郎氏を応援している。河野氏は麻生派だが神奈川県選出で菅氏に近い。総裁選は安倍晋三・麻生太郎両元首相が応援した岸田文雄氏が勝利し、菅氏や石破氏は非主流派となった。菅・石破両氏の不遇の時期を全管協は支え続けたことが、菅氏や石破氏が全管協の要望実現に動く理由だろう。
修繕組合の監督官庁は国土交通省であるが、国交省の住宅局長などを歴任し、安倍・菅両政権で首相補佐官を務めた和泉洋人氏が全管協の特別顧問に就任したのも、住宅局長時代に長期優良住宅の普及促進、住宅長寿命化政策を推進して以降、我が国の住宅政策に強い影響力をもってきたからである。和泉氏は現在も菅氏の側近ブレーンである。
公益性の陰で浮上した会計への疑義
政治的背景は以上の通りだが、修繕組合は家主(オーナー)の強い要望を受けてのもので住宅の公共性から考えて必要な制度であることは間違いない。全管協に加盟する企業代表者は、「修繕組合の取扱代理店は、わずか1カ月で200社となり、24年12月には取扱代理店は500社まで拡大し、ニーズの高さが証明された」と語る。
従来、賃貸マンションや賃貸アパートのオーナーは、修繕組合が制度認可を取得するまでは、毎年将来の修繕のための積み立てをしたとしても経費算入できなかったが、同制度が認可されたことにより経費算入することが可能となった。
出所:全国賃貸住宅修繕共済(協)のホームページ
ところが、この数年、加盟企業から実態のない業務委託費や家賃支払いの問題や、国土交通省へ提出している報告書に虚偽記載をしているのではなどの指摘があがっていることがわかった。事実とすれば由々しきことだが、次回から詳細を報じていく。
(つづく)
【近藤将勝】









