日産自動車とジャパンディスプレイ(JDI)が相次いで大規模な構造改革案を発表した。いずれも長年の赤字体質からの脱却を目指すもので、国内外での工場閉鎖や人員削減を行う。トップの人事も刷新する。
日産、世界7工場閉鎖と2万人削減
日産は13日、経営再建計画「Re: Nissan」を発表し、2027年度までに世界の完成車工場を17カ所から10カ所へと減らす方針を示した。同時に、国内外で最大2万人の人員削減も行う。この削減数には、すでに発表されている9,000人の削減も含まれている。
新たに社長兼CEOに就任したイバン・エスピノーサ氏は会見で、「業績回復は急務だ。当社の未来を守るためには、より踏み込んで、より速く取り組みを進めていかなくてはならない」と語り、事業の大幅な見直しの必要性を強調したうえで、「26年度までに自動車事業の営業利益とフリーキャッシュフローを黒字化する」と経営の立て直しへの意欲を示した。
再建により、固定費・変動費合わせて5,000億円のコスト削減を目指す。車両生産能力は24年度の年間350万台から27年度には250万台へと減る。これにより、需給バランスを最適化し、収益性を高める。
JDI、国内外で1,500人削減と茂原工場閉鎖
社長交代も発表
JDIは 15日、国内で従業員の過半数を超える1,500人の希望退職者を募集すると発表した。海外子会社でも人員削減を実施し、グループ全体の従業員数約4,100人のうち約3割を削減する。
赤字体質の脱却と、主力事業の「アセットライト化」を進める。具体的には、千葉県の茂原工場におけるパネル生産を段階的に終了させ、石川工場に生産機能を集約する方針が示された。
また、6月1日付でスコット・キャロン会長兼CEOが辞任し、明間純(あけま・じゅん)氏が代表執行役社長 CEOに就任する。
JDIはこの構造改革によって、2027年3月期の連結営業利益黒字化を目指している。
日産、JDIと業種は異なるが、両社とも非中核資産の切り離しや生産拠点の統廃合、従業員の削減を通じて、経営資源を集中させる戦略をとっている。背景にはEV(電気自動車)化による競争激化や、スマートフォン向け液晶需要の低迷、地政学リスクの高まりといった、業界構造の変化があるが、抜本的な体質改善を実現し、競争力を取り戻せるか、注目される。
【茅野雅弘】