アビスパ福岡、ホーム最終戦を白星で飾れず無念のドロー

アビスパ福岡、ホーム最終戦

課題と成長が交差した90分

 明治安田J1百年構想リーグプレーオフラウンド第1戦が5月30日、ベスト電器スタジアムで行われた。WESTリーグ10位のアビスパ福岡は、EASTリーグ10位のジェフユナイテッド千葉と対戦。ホーム&アウェイ方式で争われる最終順位決定戦の初戦は、2―2のドローに終わった。福岡はチームのムードメーカーであるFW碓井聖生、MF橋本悠のゴールで一時逆転に成功。スタジアムを大いに盛り上げたが、試合終了間際に千葉に追いつかれ、ホームで先勝を飾ることはできなかった。

 この日は、試合前からスタジアムには特別な空気が漂っていた。前日の29日、暫定的に指揮を執っていた塚原真也監督が、来季から正式にトップチームの監督に就任することが発表されており、サポーターは声援の第一声に「紺色の塚原アビスパ」のチャントを響かせ、新たな指揮官への期待と後押しを示した。

 その声援を背に臨んだ福岡だったが、先にスコアを動かしたのは千葉だった。前半15分、自陣ペナルティエリア外でのボール処理の場面でGK藤田和輝が判断を誤り、相手にボールを奪われ、千葉にそのままゴールを決められてしまう。福岡は思わぬかたちで先制を許してしまい、序盤から1点を追いかける展開となった。福岡は、前線からの素早いプレスでボールを奪い、反撃を試みるものの、前半は最後まで千葉の守備を崩し切れず、1点ビハインドで試合を折り返した。

 後半に入っても攻撃の手を緩めない福岡は54分、相手ゴール前での混戦からこぼれたボールに碓井が反応し、貴重な同点ゴールを奪った。この一撃で流れを引き寄せた福岡は、66分には左サイドからのクロスボールを橋本が冷静かつ見事なヘディングシュートで逆転。このパターンは「狙っていた」という、まさにしてやったりの完璧なゴールだった。

アビスパ福岡、ホーム最終戦

アビスパ福岡、ホーム最終戦    その後も福岡は追加点を狙い、積極的に攻撃を仕掛けるも決め切ることができない。すると試合終盤の87分、千葉に守備の隙を突かれて攻め込まれて同点弾を許してしまう。

 逃げ切り目前で追いつかれた福岡は、そのまま2―2でタイムアップ。勝利まであと一歩に迫りながら、ホームでの第1戦は痛み分けに終わり、勝負の行方は第2戦へ持ち越しとなった。

 試合後、塚原真也監督は会見で「ホーム最終戦だったのでしっかり勝ち切りたかったが、このシーズンを象徴するような軽い失点をしてしまった」と悔しさをにじませた。一方で、プレーオフは180分の戦いであることを強調し、「次は簡単に失点しないことと、先に点を取ることが大事になる。そういう準備をしてアウェイに乗り込みたい」と第2戦を見据えた。

 また、前日に正式な来季監督就任が発表されたことについては「とくに変わりはない」としながらも、「過去から受け継がれてきたアビスパの強固さ、粘り強さはクラブの文化。人が変わろうが監督が変わろうが、アビスパらしい守備を構築することが大事」と語り、クラブの伝統を継承していく考えを示した一方で、「今後さらに上を目指していくためには攻撃の部分は変化していくべき。無失点にこだわることと、複数得点を取ることが、これから我々が目指していくべき姿」と話した。塚原監督が掲げる『アビスパらしい堅守』と『進化した攻撃』への挑戦が始まる。

アビスパ福岡、ホーム最終戦

「蒔いた種に花を咲かせる」
来季の飛躍を誓う

 試合後に行われたホーム最終戦セレモニーでは、西野努社長が最初にマイクを握った。今シーズンの応援への感謝を伝えるとともに、クラブをめぐるさまざまな問題でサポーターに心配をかけたことについて謝罪した。そのうえで「変えるべきものは勇気をもって変え、変えてはいけないものは守り続ける。今までより少し、たくさんクラブを信じてほしい。そしてチームに期待してほしい。チームは間違いなく成長している。次のシーズンへ向けた準備も進めている。ACLも夢ではないと思っている」と将来への展望を語った。

 続いて挨拶に立った塚原監督は「さまざまな状況のなかで始まった始動日だったが、こうしてたくさんの人とホーム最終戦を迎えられて幸せ」とシーズンを振り返る。シーズン序盤は思うように勝ち点を積み上げられず、ホームで大敗を喫するなど苦しい戦いが続いたことなどを認めながらも、「この半年でたくさんの種を蒔いたと実感している。順位は伸び悩んだが、来季は必ずこの蒔いた種を咲かせ、より高い順位を目指したい」と力強く語った。

 また、まだシーズンが終わったわけではないとして、「プレーオフ第2戦のアウェイ千葉戦に勝って帰ってこられるよう努力します」と最後まで勝利を目指して戦い抜く決意を示した。

 最後に奈良竜樹キャプテンがサポーターに向けて、「今シーズンもたくさんの応援と声援をありがとうございました。始動日から難しい状況になりましたが、選手やスタッフたちは全力を尽くして戦ってきました。あと1試合残っているので最後まで応援をお願いします」と、引き続きの応援を呼びかけた。

 セレモニーでは、この半年間、クラブや監督・スタッフ、選手たちが、それぞれの立場で苦しみながらも前へ進み続けてきた歩みの重みを感じることができた。蒔かれた種は、まだ今は蕾のままかもしれないが、クラブ、選手、サポーターが同じ方向を見据えて進んだ先には、きっと大きな花が咲くはずだ。

【川添道子】

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