NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は安倍元首相を銃撃し殺害した罪などに問われている山上徹也被告が、どのような武器を用いて、どのように殺害をしたのかを証明することが必要だと指摘したうえで、「この証明は極めて困難である可能性が高い」と論じた5月16日付の記事を紹介する。
2020年7月8日、奈良県大和西大寺駅北口付近で安倍晋三氏が暗殺された。昨日紹介した孫崎享氏の著書は、この問題を大きく取り上げている。
『私とスパイの物語』(ワニブックス)
https://x.gd/S0oGS
この事件に関して新たな報道がなされている。安倍元首相を銃撃し殺害した罪などに問われている山上徹也被告について、弁護側が裁判員裁判で殺意を認める方針であることが分かったと報じられている。現在、公判前整理手続きが行われていて、このなかで弁護側が殺意について認める方針であることが分かったと報道された。
しかし、山上被告の殺人罪を問うためには、越えなければならない大きなハードルがある。
刑事訴訟法第三百三十六条
被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡をしなければならない。
山上被告を殺人罪で有罪にするためには〈犯罪の証明〉が必要。安倍晋三氏が死亡したことは事実だが、誰がどのように殺害したのかは証明されていない。検察は山上被告を殺人罪で起訴しているが、山上被告を殺人の罪で有罪にするには〈犯罪の証明〉が必要不可欠なのだ。
この点に関して極めて重要な証拠となるのが、事件当日に安倍元首相を治療し、死亡を確認した医師が、その当日に記者会見で述べた供述内容である。孫崎氏は事件当日に安倍氏の治療に当たった医師が当日の会見で述べた内容に関心を払い、その文字起こし内容全文を著書に掲載されている。ネット上に公開されている情報を、そのまま転載したものである。大阪に本社を置く毎日放送が記者会見の全容を一問一答のかたちで文字起こしして掲載している。
【記者会見の全容】安倍元総理が銃撃され死亡
「搬送時点で心肺停止」「最終的には20人以上の態勢で処置」https://x.gd/zrdqS以下に冒頭部分を転載させていただく。
(福島英賢教授)
「それでは私、福島の方からお伝えさせていただきます。安倍晋三氏ですが、本日午後0時20分に搬送されまして、病院到着時に心肺停止状態。蘇生処置をいたしましたが、残念ながら午後5時3分にお亡くなりになられました。来られた際に頸部2か所銃創がありまして、心臓および大血管の損傷による心肺停止と考えられます。当センターの方で大量輸血を行いましたけども、残念ながらというふうな結果になっております。以上です」
以下、回答は福島英賢教授
――亡くなった時間は?
「午後5時3分です」
――首の傷は大きさやどのあたりとか具体的に教えてください
「場所はですね、真ん中のところと少し右の2か所です。大きさは非常に小さい」
――背後から銃撃を受けたという話があるが、傷は前側に付いていた?
「はい、前頸部です。後ろに傷はありませんでした」
――2発とも前から入って、片方は左肩にというのは、左側の後ろということですか?
「前というのは場所が前であって、どういう方向で入ったのかは、横からかもしれません。ただ、傷は前にあった」
※続きは5月16日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「安倍元首相暗殺立証の闇」で。
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植草一秀の『知られざる真実』
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6月に新刊『財務省と日本銀行-日本をダメにするカルトの正体-』を上梓する植草一秀氏を講師に迎えて、日本の財政政策の実態を読み解き、経営者が今後の経済環境にどう向き合うべきかを考えるセミナーを開催します。植草氏と直接意見交換ができる貴重な機会です。ぜひご参加ください。
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2025年6月20日(金)午後3時~6時
〔場所〕
福岡市民ホール(小ホール)
〔プログラム詳細〕
講演『財務省の正体とビジネス防衛論』 午後3時~4時半
質疑応答 午後4時半~5時15分
出版記念パーティー(軽飲食付き) 午後5時15分~6時
〔講師〕
植草一秀氏(政治経済学者)
〔参加費〕
1万円(飲食、新刊書籍、書下ろし資料代含む)※要申込
〔お申し込み先〕
専用フォームあるいはTEL、FAXにて
▶ 専用フォーム
TEL:092-262-3388
FAX:092-262-3389
主 催:(株)データ・マックス
※当セミナーの詳細な内容は告知記事にてご確認ください。
<プロフィール>
植草一秀(うえくさ・かずひで)
1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーヴァー研究所客員フェロー、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ(株)=TRI代表取締役。金融市場の最前線でエコノミストとして活躍後、金融論・経済政策論および政治経済学の研究に移行。現在は会員制のTRIレポート『金利・為替・株価特報』を発行し、内外政治経済金融市場分析を提示。予測精度の高さで高い評価を得ている。政治ブログおよびメルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」で多数の読者を獲得している。