
2008年から13年の5年間で脊振山系(早良区エリア)への道標設置事業を早良区役所と西南学院大学ワンダーフォーゲル部OB・OGとで行った。設置本数は登山地図も入れて70カ所になる。初年度の08年に設置した道標は劣化が見られ、設置場所にもよるが湿気の多い箇所は支柱が朽ちてきている。
福岡市早良区南部の脊振山の麓の集落にある椎原バス停は脊振山登山の拠点である。椎原バス停から椎原川沿いの林道を50分歩くと脊振山の登山口に着く。登山口そばの椎原川にかかる舟石橋の側に大型のイラスト登山地図を設置している。
早良区エリアの脊振山系全体図である。ここから歩くこと1分で脊振山への登山口となるNO.16の道標を設置している。左に行けば脊振山、林道を右に辿れば椎原峠への登山案内である。
ここに設置した道標NO.16は沢の側にあり、湿気も多く、支柱が朽ちて交換が必要となっていた。土砂崩れで2年間使用できなかった林道は、やっと復旧工事が終了し、車で登山口まで行けるようになった。暑さと天気を考慮し、9月12日(金)に早良区役所も参加し、作業を行うことにした。数年前に区役所の費用で防腐剤処理をした支柱10本を脊振の自然を愛する会の倉庫に保管し、必要に応じて使用している。
参加者は脊振の自然を愛する会の男女5名(夫婦1組)、早良区役所2名(女性係長と男性職員)。JAワッキーに午前8時30分に集合、弁当とお茶を積み込んで車3台で登山口へ移動する。登山口の駐車スペースに車を乗り入れると夏草に覆われた道標NO.16が表示板のみ顔を出していた。
早々に道具を出して準備にかかる。ワンゲルの後輩Hが持参した草刈機で道標周辺の草刈りを始めた。筆者も常備している鎌で道標上部を覆っていた草を刈った。草刈りが終わると支柱の根本が現れた。腐ってボロボロになった支柱の根本は、シロアリの巣かと思いきやアリの巣であった。

スコップと鍬で支柱を掘り起こす。支柱には固定するために横木を取り付けているので簡単には抜けない。掘り起こしている間、手の空いている女性2人に新しい支柱の根本に防腐剤を刷毛で塗ってもらった。苦労して支柱を掘り出した。
新しい支柱の周りにたくさんの石を入れ、支柱を固定。固定が終わったところで新しい表示板を取り付ける。表示板はボルト用の穴を事前にドリルで開けていた。支柱にいきなりボルトを打ち込むと支柱が割れるので、直径17ミリのボルト用の穴を開け、水平と方向を水準器で確認し、表示板をボルトで固定した。


脊振山方面と椎原峠方面と左右に固定して完了。設置した道標の支柱に念を入れて防腐剤を塗り、設置完了。表示板は少し右肩上がりになっていた。時間が経つとお辞儀をするように下向きになってくるので「まぁ、よいか」と筆者は納得した。区役所職員が草刈機と熊手ぼうきを使い、登山口周辺をきれいにしていた。

作業が終了したので、近くにある知人Hの山小屋へ移動し、円形テーブルを借りて休憩した。筆者たちは、この山小屋の管理を頼まれ1年間管理をした。古い建物であり「荷が重いのでは」と持ち主が山好きの知人Hに譲渡した。Hはたまたま大学の後輩でもあった。
そんな縁もあり、時々この山小屋に立ち寄っている。Hは山小屋の住所と同じ早良区在住で、ほぼ毎日、車で通ってきている。Hが人数分のコーヒーを入れてくれた。その後、Hは我々に遠慮してか散歩にでかけた。設置作業が早めに終わったのでコーヒーを飲みながら歓談した。
杉林に囲まれた古い山小屋は静かであった。蚊取り線香の煙が微風に吹かれて流れてきた。午前11時30分と昼食には早い時間ではあるが、早朝に注文していたワッキーの弁当を食べ、作業は終了した。
山小屋のHへのお礼にと「弁当を食べてくださいと」小屋のなかにメモを残してきた。外に置くとカラスの被害に遭うらしい。それぞれ車に乗り山小屋を後にした。気になっていた道標の入れ替えが終わり安堵した。
脊振の自然を愛する会
代表 池田友行