2016年のネット業界の行方は?(前)
-
マーケティングリサーチ会社、ニールセン(株)の調査では、2016年には、スマートフォン(以下、スマホ)を使ってインターネットを利用する人の数が、パソコンを使ってインターネットを利用する人の数を上回り、5,000万人を突破するという。道端を歩いていても、駅やバス停で立っていても、見かけない日はないほど日常にスマホが浸透しているこの時代、インターネット業界の今後について考察する。
スマホ時間はますます増大
ニールセン(株)の最新のデータによると、スマホの1日の利用時間は約1時間50分という。睡眠や食事、仕事の時間を除けば、1日のうちの自由時間がスマホに使われているのは明白だ。ちなみに、パソコンの1日の利用時間は1時間程度ということで、ほぼダブルスコアがついている。日本人は、パソコンはもっぱら「必要な知識や情報」を取るため、スマホは「家族や知人とコミュニケーションをとるため」と、パソコンとスマホを目的によってきちんと使い分けているようだ。LINEやFacebookといったSNSは今やパソコンではなく、スマホで扱うのが主流となっているのがわかる。
SNS人気のけん引者が若者であるのは間違いない。産まれたときからインターネットや携帯電話が身近な存在だった彼らは、飽きやすい特徴がある。さらに、コミュニケーション下手な人が多い。これまでのSNSの主流であるFacebookやTwitter、LINEなどは、「いいね!」を押さないといけない、コメントに返事を書かないといけない、などの心理的煩わしさから、早くも若者の間では、SNS離れが始まっているのだ。そうしたなか、コミュニケーションすら面倒となっている人向けに、新たなサービスを始めた企業もある。福岡市中央区のインターネットコンサルティング会社、(株)スマイルホールディングスが開発したニュースサイト「RELEASE(リリース)」だ。
人気の決め手は「シンプルさ」と「複雑化」
「RELEASE(リリース)」には「あなたが街のリポーター」というテーマが掲げられていて、世の中に発信したい情報の画像とコメントを、サイト上に自由に掲載することができる。掲載できる画像も1つだけ。その情報を見た人が良い記事だと思ったら「いいね!」ボタンを押すだけだ。相手からのコメントが書きこまれることもないので、コメントを返す必要もない。いたってシンプルなつくりとなっている。しかも、掲載するたびにポイントが加算され、一定程度たまった時点で換金できるという業界初の仕組みが施されている。これまでのSNSにはないシンプルさと、ポイント制度という斬新な企画が奏功し、開設からわずか1年足らずで、月間アクセス数は300万PVを超えるまでに成長している。「シンプル」というキーワードは今もこれからも、忙しい年代の人たちにとって受け入れられる絶対条件と言えそうだ。
他方、既存のSNSから派生したオフ会(ウェブで知り合った人たちが実際に交流するイベント)を主宰する、福岡市在住のイベントクリエーターA氏に話をうかがうと、全く異なる見解を持っている。A氏は、「FacebookなどのメジャーなSNSは最初の入り口が簡単なので、誰でも入ってきやすい。そうなれば質の悪いユーザーが増え、どうでもよい投稿が目立つようになり、きちんと活用したいユーザーが離れていっているのではないか」と分析している。もっとも彼が主宰するオフ会の入会にはアンケートを書くことや身分証の提示を義務付けるなど、手続きを複雑化したことで、彼の言う「質の悪い」メンバーは誰もおらず、参加者からの評判も上々だという。
(つづく)
関連記事
2024年11月20日 12:302024年11月11日 13:002024年11月1日 10:172024年11月22日 15:302024年11月21日 13:002024年11月14日 10:252024年11月18日 18:02
最近の人気記事
おすすめ記事
まちかど風景
- 優良企業を集めた求人サイト
-
Premium Search 求人を探す