福岡市在住の異色の芸術家、劇団エーテル主宰の中島淳一氏。本人による作品紹介を共有する。
『Chimera』は、金箔を思わせる厚く輝く画面の上に、有機的かつ異形のうねりを刻み込むことで、存在の根源に潜む混成性を露出させた作品である。黄金の大地は神話的時間、すなわち生成と崩壊が同時に進行する永遠の場を象徴している。その上を走る暗褐色と赤の脈動は、地層であり、血流であり、生命の記憶である。キマイラとは本来、異なる種の結合によって成立する幻想的存在である。本作においては、それが視覚的形象としてではなく、構造そのものとして表現されている。形は定まらず、輪郭は溶解し、存在は絶えず別のものへと移行し続ける。その曖昧さは、不安ではなく、むしろ創造の原初的エネルギーを孕んでいる。
絵具の隆起や亀裂は、時間が画面に刻印された痕跡であり、物質が自己を変容させていく過程を可視化している。この作品は、個体という概念を超え、あらゆる存在が混じり合いながら生成される宇宙的プロセスを示唆する。すなわち、『Chimera』とは怪物ではなく、万物の本質──混成と変容──そのものなのである。
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