不動産賃貸仲介管理業界を代表する団体として知られる全国賃貸管理ビジネス協会(全管協)が揺れている。これまで当社では、全管協名誉会長・高橋誠一氏が、自民党ちんたい支部連合会会長、全国賃貸住宅経営者政治連盟会長として、与党自民党と近い関係にあることや、全管協の会員企業やその代表者が、自民党の党員勧誘活動に際して本来党員となる個人が支払うべき党費を負担している実態について、政治資金規正法上の寄付行為にあたる可能性があること、そして、全管協名誉会長として政府与党幹部と面会した際、自身が経営する企業が販売権を有するごみ処理プラントの営業活動を行ったことなどを報じてきた。
Xでも週刊誌報道に大きな反響
15日発売の『週刊ポスト』(小学館)2026年6月26日・7月3日合併号において、「茂木外相が総裁選ですがった『自民党員水増し団体』」とのタイトルで、24年の自民党総裁選に際して、現在、高市政権の外務大臣を務める茂木敏充氏が、全管協名誉会長でその職域支部である自民党ちんたい支部連合会の会長を務める高橋誠一氏に、東京都内のある高級飲食店で、総裁選で全管協がもつ自民党員票の一部を自身に投票してくれるよう依頼していたことや、当社が報じてきた自民党員の組織的な獲得に関する問題を3ページにわたって報じている。
2026年6月26日・7月3日合併号に
掲載された見出し。
同誌は「茂木外相が総裁選ですがった
『自民党員水増し団体』」と掲げている
=筆者撮影
週刊ポストの記事は16日からヤフーニュースをはじめとするネットニュースにも全文転載されている。X(旧・ツイッター)において、哲学者の適菜収氏や教育学者の本田由紀氏などが記事を引用・転載し、大きな反響を呼んでいる。
現時点では、茂木氏や自民党ちんたい議連会長の石破茂前首相らから週刊ポストの報道に対する表立っての反応はみられないが、仄聞するところでは自民党内において「不適切な慣習などは改めるべきだ」との声が出ているという。
現在、週刊文春が7週連続で報じている高市事務所による総裁選や衆院選での対立陣営への中傷動画疑惑が大きな問題となっているが、全管協の自民党員問題も、我が国の総理大臣を間接的に決定する自民党総裁選に影響を与える点で、由々しき問題である。
これまで全管協加盟企業の代表者らに対する当社の取材は、北海道・東京を除くと九州や関西など西日本が多かった。全国の書店やコンビニエンスストアで販売されている週刊ポストでの報道もあり、東日本地域の全管協関係者からも当社の報道が注目されているという。
元本部理事による怒りの告発
今回、当社は全管協の本部理事を務めた東北地方の全管協加盟企業の代表者を取材する機会を得た。オンラインで話を聞いたが赤裸々な告発内容であった。
東北地方の全管協加盟企業の代表者Aとする。そのやり取りを項目別に以下の通り紹介したい。
<自民党員獲得問題>
──自民党員の獲得に関して本部から強い締め付けがあったのは事実か。
東北地方の全管協加盟企業の代表者A(以下、A) 事実である。自民党員の件について、私は当初理事会で反対したが、うちの支部だけやらないわけにいけないということで、自民党の職域支部であるちんたい支部を私が中心になって立ち上げた。
──自民党員の入党を依頼した先は。
A 党員には従業員や取引先業者になってもらった。その党費については私が個人的に負担してきた。ただし会社の経費は一切使っていない。
──現在、貴社関係の自民党員は何人いるのか。
A 自民党員は40人、50人入っていたが今年に入って、全員党員をやめた。
──東北は国政選挙の結果を見ても必ずしも自民党が強い地域ではないが、会員企業の反応は。
A 家主さんには共産党や公明党の方もいる、そうしたなかで自民党の応援に疑問があった。高橋誠一名誉会長に2人だけで直接話をした際に、自民党の応援は三光ソフラングループ(高橋氏が代表)でやればいいのではと伝えたこともあった。そのことを含め高橋名誉会長の組織運営方針に疑問があったため約10年前に自ら理事を引退した。
<ハワイ理事会について>
──理事会の状況はどのようなものだったか。
A 全管協には各支部からの理事が約50人いるが、理事会で発言するのは4、5人しかいない。高橋名誉会長とは、毎年行われているハワイでの理事会についても議論してきた。ハワイでの理事会に出ると日当が出るが、これについておかしいと申し上げた。
──ハワイでの理事会には参加したことは。
A 私は一回もハワイ理事会に参加していない。理事会では高橋名誉会長の方針に誰も発言しないが、理事会後に、名前は出せないが、ある方が「理事の半分ぐらいはAさんと同じような意見をもっているよ」と伝えてきたことがある。それならば発言すればいいではないかと思った。こうした経緯から、私は全管協の理事を退任した。
<全管協の組織運営について>
──全管協の会員は続けているのか。
A 全管協そのものは悪い団体ではなく、お互いにビジネスのノウハウを共有するなど良い点が多く、全管協の会員はやめていない。問題は高橋名誉会長に誰も意見を言わないことだ。理事会が終わった後に、俺も言わなかったけどそうなんだよなとはいうが、日本人全体がそうかもしれないが、発言すると嫌われるとか、仲間外れにされるとかを気にして自分の意見を言わないことが問題の根本にある。理事会に参加すると、報酬を10万円、15万円もらえるが、ハワイ理事会の交通費も理事は全員本部が出している。だから皆さん黙って発言しない。本部から「日当を上げるのに反対する理事は誰もいない。Aさん申し訳ないけども、これについては発言しないでくれないか」と言われたこともあった。
──前会長・三好修氏はじめ全管協会長は国から叙勲を受けている。
A 私は褒賞もお断りした。理由は高橋名誉会長にお礼の電話を入れなければならないといわれたからである。日本の組織運営によくある親分・子分の関係そのものである。高橋氏は、私から見るとリーダーというよりボスである。人心掌握は長けてると思う。私も30数年付き合って高橋氏の性格はよくわかっている。
──高橋氏はどういう人物か。
A 理事会で高橋名誉会長が女性差別的な発言を行ったことがあり、そのことを注意したことがある。全管協にも女性の理事が複数いるなかで、人権意識や組織の在り方が問われる。私が理事に就任した直後のころ、高橋名誉会長が懇親会の席で私の席に酒をつぎにきたことがある。その際に高橋氏は私の前で自分の手帳を見せたことがある。高橋さんの個人的なプライベートの手帳だが、そこには女性の名前がいっぱい書いてあった。「従業員の名前ですか」と尋ねたら、付き合っている女の子だと言った。私は「会長、貴方の品格が問われるよ」とその場で申し上げたが、嫌な顔をしていたが一言も返事はなかった。
──全管協はどうあるべきか。
A やはり全管協は全管協創業時の気持ちを思い出して民主的な運営を心がける必要がある。そもそも個人的な組織ではないのだから、自分の息子を本部理事にするなど恥ずかしい行為は行うべきではない。早急な組織改善が行われることを願っている。
(つづく)
【近藤将勝】








