中国経済失速、韓国経済に忍び寄る危機(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
過剰投資による不動産のバブルだけでなく、中国が抱えている不良債権に問題が発生しなくても、それが解決されるためには歳月が必要である。その間中国経済の減速はやむなく、韓国の輸出にとってマイナス要因になるのは必至だ。
中国需要の減少は、さらに世界経済に大きな打撃を与えている。ブラックホールのように原材料を輸入していた中国の需要が減少し、原材料価格は暴落している。中国は、内需の不振を輸出でカバーしようとして人民元を切り下げ、それも結果的に韓国輸出の悪材料になっている。
人民元の切り下げは、中国の輸出を伸ばすだけの政策ではない。米国も日本もヨーロッパも競うように量的緩和を実施し、中国の人民元は、相対的に高く評価されているので、人民元の切り下げは、それに対する対抗措置でもある。中国の人民元は、今後2、3回切下げがあるだろう。そうなると、韓国の中国への輸出はますます厳しくなる。韓国の輸出は、簡単に伸びないだろうという理由は、そのような背景から推測できる。
輸出が減少することによって、韓国国内では、連鎖的にいろいろな問題が発生している。11年には82.6%であった製造業稼働率は、今年は72.6%に減少している。製造業稼働率は下降線を辿っていて、まったく回復の兆しがない。このように輸出が減少しているなかで、「対外要因による輸出減少は、どうにもならないので内需を育てよう」という議論もある。
しかし、輸出だけでなく、消費も減少している。昨年8月の消費の伸び率は、2.8%であったのに対して、今年1月には消費の伸び率はー1.4%になっている。消費が減少しているのは、当たり前の現象かもしれない。韓国は1,200兆ウォンという莫大な家計負債を抱えていて、個人は消費をする余力があまりない。
ここ数年、企業は所得を伸ばしているが、個人は賃金も上がらず、可処分所得が減っているので消費に回す余裕がない。それに、将来に対する不安も抱えていて、財布の紐は硬くなっている。消費の不振は、在庫の増加というかたちで現れている。自動車と自動車部品の在庫だけで、5兆639億ウォン増加しており、IT、電子、電気の在庫も、3兆9,830億ウォン増えたという記事が出ている。
このように韓国経済に対する不安が強まり、外国人投資家の資金が韓国から逃げている。去年6月から8カ月連続で株式市場などから資金が流出。純流出は233億ドルという統計がある。
最後に投資だが、企業は景気が悪いのに投資するはずがなく、投資もマイナスだ。国内の投資を分析してみると、韓国は建設・土木への投資が多い。建設・土木への投資は大手企業を潤すことはあっても、なかなか個人レベルへの効果は薄い。韓国経済を支えてきた輸出だけでなく、消費、投資とも低迷しているなか、早期の打開策が求められている。
(了)
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