2024年11月23日( 土 )

ボアオ・アジアフォーラム~「グローバル健康フォーラム大会」開催!

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 1月22日(火)の午後4時30分~午後7時30分まで、ホテルオークラ東京のアスコットホールで、ボアオ・アジア・フォーラム(BFA)~「グローバル健康フォーラム大会」の日本説明会&交流会が行われ、日本の製薬企業、医療機器企業、医薬研究所、医院などの関係者が約200人参集した。
 中国国務院発表の『健康中国2030』によると、中国は健康産業を発展させ、多元的医療事業発展の構図を強化し、健康関連新産業、新業態、新モデルを生み出すことを提唱している。そのため、2030年までに、中国の健康産業規模は拡大し、16兆元(約260兆円)に達することが見込まれている。

世界に今までなかった大規模な健康フォーラムになる

 2019年6月11日(火)~12日(水)に中国山東省青島市で、ボアオ・アジアフォーラム(BFA)「グローバル健康フォーラム大会」が開催される。その東京説明会が1月22日にホテルオークラ東京のアスコットホールで行われた。

李保東  BFA 秘書長

 主催者の中国側からは、李保東・BFA秘書長(外交部元副部長)、陳馮富珍「グローバル健康フォーラム大会」主席、万建忠・青島人民政府副秘書長、程永華中国大使などが出席、日本側からは、平手晴彦・武田薬品工業(株)執行役員、松本謙一・(一社)日本医療機器工業会会長、後藤禎一・富士フィルム(株)常務取締役などが列席した。中国側が各15分程度(主旨説明など)、日本側が各5分程度(開催を祝って)のスピーチを行った。

 最初にスピーチした李保東 BFA秘書長は、BFAにおける日中絆の歴史を語るとともに、中国が2つの点で「健康」に大きく舵を切ることを示唆した。1つは「健康は持続可能な経済成長に不可欠」で、もう1つは「健康産業は21世紀における成長産業」だからである。
そして、最後に6月のBFA「グローバル健康フォーラム大会」は世界に今まで例のなかった
大規模な「健康フォーラム大会」になることを強調した。

健康・衛生、国民健康保険などは国づくりの重要な要素

陳馮富珍 グローバル健康フォーラム大会 主席

 続いて、陳馮富珍博士(Dr.Margaret Chan)がスピーチした。陳馮博士は約10年、WHOの第7代事務局長(現・名誉事務局長)を務めた。陳馮博士は、プライマリ・ヘルス・ケア(PHC)の大切さを明確に宣言した最初の国際宣言『アルマ・アタ宣言(「全ての人に健康を」)』(1978年)や2015年に193の国連加盟国が採択した『我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ』などに言及、健康・衛生、国民健康保険などは国つくりの重要な要素であると語った。

青島ビール、ハイアール、「徐福伝説」で日本との縁

 開催地となる青島市は、山東省に位置する主要な港湾都市である。青島ビール、中国最大の家電メーカー・ハイアールグループ(海尔集团)の本拠地、および健康と関係の深い「徐福伝説」などで日本と縁が深い。今から遡ること2200年、徐福という人物が秦の始皇帝に「東方の三神山に長生不老の霊薬がある」と具申し、皇帝の命を受け旅立った。実際にどこに辿り着いたかは不明であるが、日本国内各地には10を超える「徐福伝説」が存在する。その徐福が出航したのが、今回会場となる青島市黄色島区琅琊鎮の界隈といわれる。また、青島市は日本の下関市と姉妹都市であり、本年はちょうど締結40週年にあたる。(万建忠 青島人民政府副秘書長)

『健康中国2030』で、健康に大きく舵を切り始めた中国

 2016年8月26日、国務院は習近平主席の発言(「全面的な健康がなければ、”小康社会”も語れない」)を受けて、『健康中国2030計画概要』(『健康中国2030』)を発表した。『健康中国2030』は「協力・共有・全国民の健康」を基本方針とし、内容は医療保険、食品安全、レジャースポーツ、養老、環境保護など多岐に渡る。今後の健康関連の重点産業として、(1)医療機関を中心とする医療産業、(2)薬品、医療機器、医療消耗品を中心とする医薬産業、(3)「緑色食品」、サプリメントを中心とする健康食品産業、(4)健康診断、健康コンサルティング、リハビリを中心とする健康管理サービス業、(5)養老産業の従来の5つに加え、(6)健康分野におけるビッグデータの活用、(7)スポーツ産業の発展も国民健康水準向上の一環として挙げている。

誕生日に見込まれる健康寿命で中国はすでに米国を上回る

 2018年5月17日に「世界保健機関(WHO)」が公表した『世界保健統計2018』をロイターが分析、2016年の統計で「誕生日に見込まれる健康寿命で中国は初めて米国を上回った」と昨年報道された。中国は第37位(68.7年)、米国は第40位(68.5年)であった。全寿命では米国が78.5年で中国の76.4年を依然上回っているが、ロイターの試算では、2027年ごろには全寿命も中国が米国を追い抜くと見込まれている。ちなみに、健康寿命が最も長かったのはシンガポール(76.2年)、全寿命が最も長かったのは日本(84.2年)であった。

【ボアオ・アジアフォーラム(BFA)】スイスのダボスで開催されている世界の政治家・財界人・知識人が集まる国際会議(ダボス会議)を主催する世界経済フォーラムにならい、そのアジア版を目指して、中国政府の全面的支援を受けて構想された。2010年から17年まで日本の福田康夫元首相が理事長を務め、2018年には韓国の潘基文元国連事務総長が理事長に就任した。

【プライマリ・ヘルス・ケア(PHC)】実践的で、科学的に有効で、社会に受容されうる手段と技術に基づいた、欠くことのできない保健活動のこと。

【金木 亮憲】

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