【福岡県に緊急事態宣言】(7)すべての学校で休校措置が必要 子どもたちの心を守れ
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たった1人の感染が全校休校措置に
新型コロナウイルスは、感染がわかった際の「余波」が大きい。具体例でいうと、西日本のある高校で在校生1人の陽性が確認されたケースがある。在籍クラスの全員と所属する部活動のチームメートなど50人近い生徒や教職員がPCR検査を受けることになり、受験シーズンを控えていたため結局は全校生徒を対象に臨時休校措置に追い込まれた。もちろん生徒の家族や親族も全員検査を受け、それぞれが勤務する企業によっては部署ごと、あるいは社員全員にまで検査範囲がおよんでいる。
高齢者のいる家庭であれば特にその影響は深刻で、万が一のことがあればその生徒がどれだけ自身を責めるか、心が痛む。たった1人の感染が確認されただけでこれだけの騒ぎになるのだ。部活動の大会などが中止されれば影響を受ける範囲は他校にまでおよび、謂(いわ)れのない非難や中傷に晒される可能性はさらに高くなる。感染した生徒にはまったく非がないものの、なにかしらの責任を感じるようになるのは容易に想像できるだろう。
「(感染者は)福岡由来」発言のこわさ
感染が確認された子どもたちが自身を責める「土壌」ができあがっているにも関わらず、不用意な発言でさらに追い打ちをかけるオトナもいる。朝日新聞などによると、佐賀県の山口祥義知事は13日、自県内の感染者について「ほとんどが福岡由来」と、緊急事態宣言で混乱状態にある隣県をわざわざ名指しし、大川内直人・健康福祉部長は「元栓を閉めれば、出る水は減る」などと表現して福岡県との行き来をしないように呼びかけたという。
要職にある者がこれだけあからさまな物言いをするのであれば、感染が確認された者に対する「遠慮」のストッパーがはずれるのは目に見えている。こうした感染者(感染多発地域)バッシングがこわいのは、さらに感染を広げる下地をつくってしまうことだ。
緊急事態宣言の対象地域に住むだけでレッテルを貼られて行動を自粛警察に監視されるようになれば、おのずと「恐れるべきはウイルスよりも人間」となって受診控えが進み、感染は静かに拡大する。さらに余波を恐れるため、感染がわかったとしても行動履歴について事実を申告するかはわからない。実際に東京都では「感染経路不明」のケースが急増しており、経路不明の割合は昨年11月が57.2%だったの対し、1月は12日までの判明分で66.2%まで上がっているという。感染経路を追うことができれば、規制や自粛要請で地域や期間を限定することができるが、追えない以上は広い範囲に長期間の網をかけるしかない。結果的に経済活動の縮小も避けられなくなり、感染者バッシングはこうして自身に跳ね返ってくることになる。
子どもたちに重荷を負わせないために
今回の緊急事態宣言では、一斉休校などの措置はとられない。子どもたちを介した家庭内感染の広がりが指摘されているにもかかわらず休校措置がとられなかったのは、大学入試などを予定通り行うという文科省の決定が先にあったためだろう。しかし、学校という狭い空間に子どもたちを集めておいて、「3密」回避などの感染防止策を徹底させるのはどだい無理な話だ。
冒頭にあげたケースで、感染が確認された高校生は発熱や味覚障害などの症状が出なかったため、むしろ余波の大きさにとまどったという。所属する部活動でつくるグループチャットには、「あなたのせいではない。頑張って」「何を言われても気にするな」など生徒を励ます声があふれたが、両親に対しては「学校に行くのがこわい」と打ち明けていた。
子どもたちにこうした重荷を背負わせないためにも、一斉休校が必要ではないか。
守るべきものは子どもたちの心だ。【データ・マックス編集部】
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