2024年11月22日( 金 )

【福岡県に緊急事態宣言】(15)緊急事態宣言と飲食店主・現場の声(1)

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 政府が緊急事態宣言を発出して2週間以上が経過した。新型コロナウイルス感染症の鎮静化の動きが不透明ななか、同宣言により悪影響が直撃しているのが、飲食店である。

 業界大手などチェーン化している店舗ではなく、個人で日々奮闘している飲食店店主に現状を聞いた。

 福岡市博多区の一等地で居酒屋を営業する店主は、国の対策について評価できる点と不満が残る点があると指摘する。

 「2度目の緊急事態宣言、厳しい事態であることはたしかです。そして『経済の流れを止めるなよ!』というのが本音です。他方、緊急事態宣言が出ていない状況で店を開けていても、すでに死ぬ直前の営業状態です。ですので、多い少ないという賛否はあるものの、給付金6万円はよかったのではないでしょうか。ただし、店舗や業績の規模によっては6万円という数値がどうなのかは…。もし可能であったなら一律ではなく、店舗および業績の規模に応じた保障が実施されれば、ウイルス感染拡大の防止にもっと協力できたのではないでしょうか」。

 緊急事態宣言下の店舗の経営状況はどうか。

 「売上に関しては、うちが営業しているエリアは当店を含め、激減していることはたしかです。福岡市および周辺の郊外エリアについてはわかりませんが、昨年の今頃、国内で感染者が確認されてから今日まで、減少の一途です。まずは20名前後の宴会など社用および個人需要が一切ありません。20名のお客さまが入れるスペースも、最大で10名という仕様になりました。8~10名の予約も皆無です。救われているのは、古くからの常連のお客さまです。『大変だが、踏ん張って!応援しているから』と温かい励ましをいただき、1、2名でお越しいただくことが多いですね。本当にうれしく、心からの感謝の言葉のみですね」と苦しい状況を打ち明けてくれた。

 今後については、「1度目の緊急事態宣言時は休業、そして今回…私自身も極力飲みに行くことは控えているなか、改めて感じたことがあります。我々のような居酒屋は、必要であると。ご家族やご友人そしてお仲間同士が、飲んで食べながら語らいをもつ。お店のスタッフとコミュニケーションをはかれるすばらしい空間であることが明確になりました。情勢がどのようになるかはわからないです。それでも、人と人が直接温かなコミュニケーションを形成できる場としての存在であり続けたいですね」と飲食店が地域で役割をはたしていることに胸を張った。

 記者は、午後5時に同店を訪問。当日の来客は、たしかにまばらであった。提唱されている通り、人同士の空間を保ち、消毒を含む徹底した感染予防対策を講じながら営業されている。ゆっくりとしたペース、小さな声での会話。それぞれが節度をもって、料理と飲み物を楽しみながらコミュニケーションをはかっていた。店舗スタッフも感染予防対策を徹底しながら、来店者と円滑なコミュニケーションを取っていた。

 もっと遠慮なく大きな声で話ながら、たくさん食べて飲んで楽しみたいというのが、来店客の本音だろう。店舗スタッフも威勢のよい声で接客したいことだろう。外食する、しないは個人の意志に委ねられるとはいえ、直接、人と人が触れ合う空間は不可欠でもある。

(つづく)

【河原 清明】

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