橋下維新・辺野古・AIIBに見るエネルギー転換
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NETIBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、政権交代を実現するための「連帯」運動の枠組みについて触れた、4月6日付の記事を紹介する。
皆既月食は古いエネルギーを封印して、新しいエネルギーを引き出す契機になるとも言われる。
満開の桜を照らす月光が消えて闇を創り出し、新旧のエネルギーの流れが転換して新しい月光が桜の花を浮かび上がらせた。
4月4日を転換点に、大きな流れの変化が広がり始める予兆が感じられる。
大阪では、大阪維新、維新の会の上西百合子衆議院議員が維新を除名された。
維新の橋下徹代表と上西百合子衆院議員の会見には、途上から上西氏の公設秘書である。家城大心氏も同席した。
この会見で、上西議員の問題行動の輪郭が明らかにされたが、いくつか重要な疑問点が残されることになった。
その点は措くとして、維新は上西議員を除名処分とした。
上西議員は議員辞職を拒絶して国会議員の職に留まる方針を表明しているが、維新は極めて重要な局面で手痛いイメージダウンを受けることになった。大阪都構想の住民投票が5月17日に実施される。
公明党は大阪都構想に反対の見解を示していたが、昨年12月の総選挙で、維新が公明党と広範な選挙協力を実施したことを受けて態度を変えたと見られる。
その結果として住民投票が実施されることになったのだが、大阪都構想が実現すれば、橋下氏は国政に転じて、安倍政権の憲法改定に協力するのではないかと見られている。
この意味で、大阪都構想の実現可否は、そのこと自体よりも重要な意味合いを持つ重要事項になっている。
この大阪都構想に対する支持が、今回の上西議員の騒動を契機に、大逆転し始めている。転換点になったのは4月3日の記者会見であろう。
第二に、4月5日、菅義偉官房長官が沖縄県の翁長雄志知事と会談した。
知事選の前に菅氏は翁長氏と面談しているが、翁長氏の知事当選後は初めての会談であった。
この会談の冒頭で、翁長氏が極めて意味のある一言を発した。「上から目線の『粛々』という言葉を使えば使うほど、県民の心は離れて、怒りは増幅していくのではないか」
まさにその通りである。
翁長氏は、本当に「辺野古に基地を造らせない」という公約を実現する考えを持つなら、基地建設を止めるための具体的、かつ、実効性のある行動を取るべきである。
それは、「埋め立て承認を撤回」し、検証の上、「埋め立て承認を取り消す」ことである。
これを実行すれば、菅義偉氏は、「粛々と工事を進めること」が出来なくなる。
菅氏は「粛々と工事を進める」拠り所が、「埋め立て承認」であることを明言している。
この拠り所を知事権限で外してやればよい。それは、知事の独断専行ではない。民意に裏付けられた正当な政治行動、政治判断である。
翁長氏が発した「「粛々と」という上から目線の言葉」によって、これまでの工事推進のエネルギーが封印され、工事を止めるエネルギーが新たに湧き出す可能性がある。そして、もうひとつの重要変化がAIIB(アジアインフラ投資銀行)の発足である。
日本はAIIBに冷淡な対応を示し続けているが、世界の趨勢はAIIBへの参画である。
「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を掲げても、「視野の広さ」がなければ意味がない。「視野狭窄」で「地球儀を俯瞰」しても、全体を見失うだけである。アジア経済における中国の比重は、いやがうえにも高まる。日本は同じアジアの盟主として、中国と戦略的互恵の関係を深化、発展させることに注力するべきである。ところが、安倍政権は中国との敵対関係だけを拡張し、日本の主権者に多大な損失を与えつつある。
この負のエネルギーが封印され、新しい、互恵と友好を促すエネルギーが、これから湧出することになるだろう。
※続きは4月6日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1118号「政権交代実現するための「連帯」運動基本枠組み」で。
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