「日本最初の禅寺」聖福寺と福岡市との間でトラブル発生(前) 外壁改修工事をめぐって
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建久6(1195)年に創建された臨済宗妙心寺派の寺院である聖福寺(福岡市博多区)は、「日本最初の禅寺」とされている。中国・南宋で禅宗を学んだ栄西(ようさい)禅師が、その教えを広めるために創始した。聖福寺は、元久元(1204)年に後鳥羽上皇から「扶桑最初禅屈(ふそうさいしょぜんくつ)」の勅額を賜ったという非常に由緒正しい寺院で、1969年7月には、境内が国指定の史跡に指定されている。その聖福寺と福岡市との間で2つのトラブルが発生した。
外壁改修工事をめぐってのトラブル
聖福寺は福岡市博多区上呉服町の博多消防団御供所分団車庫がある124.54m2の土地を福岡市消防局に貸し付けている。現在の賃貸借契約に至った経緯は下記のようなものである。
博多消防団御供所分団車庫は、かつて御供所町6-5にあり(1974年竣工)、土地は聖福寺からの有償借地、建物は御供所公民館との合築だった。この御供所公民館移転改築の話が持ち上がったのは95年のことだった。この件について、聖福寺で協議を行った結果、96年に前老司より「公民館は移転していただくが、消防はぜひ現在地に残ってほしい」との要望があったという。しかし、その後、聖福寺の担当者から「現地での建替えは困難なため、聖福寺のほかの敷地内に移転してほしい。用地提供については協力する」との申し出があり、99年4月に現在地に移転、今に至っている。
なお、敷地の賃料は年間約110万円。福岡市消防局は毎年、賃貸料支払い時に聖福寺に挨拶に行っているが、以前から「賃貸借量について、1円でも減額するようであれば契約解除する」と言われているという。
市消防局は2020年度に博多消防団御供所分団車庫の外壁改修のため、実施設計を行った。しかし、新型コロナウイルス対策の財源確保のため外壁改修は22年に延期となってしまう。そして、今年5月、財政局より「工事にあたって設置する足場が隣地である聖福寺の駐車場に越境する可能性が高いので、事前に関係者から了承を得るように」との指示が市消防局にあった。後日、市消防局が聖福寺に対し、今年度外壁改修工事を行うこと、その際に足場が越境してしまう可能性がある、と電話で説明している。
7月19日、市消防局は聖福寺に「請負業者が決定したので、工程など詳細な説明をするためうかがいたい」と伝えた。なお、工事にあたっては「工事許可申請書」の提出が必要で、本来であれば工事の1カ月前に提出しなければならなかったが、消防局ではその旨を把握していなかったため、聖福寺に「速やかな提出」を求めたという。
同26日、市消防局が聖福寺に赴き、工事概要の説明を行ったところ、白峰(びゃくほう)老大使が激怒したという。理由は聖福寺の説明資料に工事期間が7月21日からと記載されており、「説明に来るのが遅い」というものだった。その後、「改修工事の契約を解除してから出直してきなさい。話はそれからだ」「御供所分団車庫の契約も解除する」などと言われたという。
市消防局は、その後、白峰老大使に再度の面会を求めたものの、拒否されたため、8月1日に聖福寺の寺務員にお詫びと事業内容の見直し(足場が越境しないように変更)について説明したが、「老大使の御供所分団車庫の契約を解除する(契約が切れる今年度末)という考えに変わりがないと言われた。その際に「地域の人に説得に入ってもらった方が良いのでは」とのアドバイスも受けたという。
上記のように、現在は聖福寺側から了承を得られていないことから、工事の着手を停止している状況となっており、今後の動向が注目される。なお、当初予定されていた外壁改修工事の概要は上の通りだ。
上記の件について福岡市消防局に問い合わせたところ「聖福寺と博多消防団御供所分団車庫敷地の外壁改修工事についての協議を行っているのは事実」との回答が得られた。「いまだ工事を着手する時期のメドは立っていない」というが、今後も協議を重ねていくとしている。
また、請負業者である(株)アティード建築舎は「聖福寺さんと福岡市消防局が協議中のため、話せる立場ではない。コメントは差し控えさせていただきたい」としている。
(つづく)
【新貝 竜也】
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