【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(32)】「『命ファースト』終了」でガンガン稼ぐ!?──令和5年度予算と中長期計画(4)
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新学期がスタートした。福岡大学でも4月1日、入学式が執り行われ、4,820人の新1年生がキャンパスライフを送り始めたところだ。これに先立ち、執行部は令和5年度の予算編成を行っていたが、3月30日の理事会および評議員会にて承認されたもよう。令和4年度の決算見込と向こう10年間の中長期計画も示された。そこに浮き彫りになる「学長のビジョン」とは…。
支出部門もメディカル偏重
扱う患者が増えれば経費も増える。かくして、患者数の増加による「医療収入」の増大を見込む執行部は、メディカル部門に割く予算もドンと上げた。
本年度の経常支出予算は前年度比36億100万円増の833億8,100万円。「人件費」は前年度予算比5億7,400万円増の415億7,700万円、「管理経費」が同2億9,100万円増の37億6,200万円だから、残りの増加分27億3,600万円がどこの増加に対応しているかといえば、「教育研究経費」──前年度予算比27億1,300万円増の379億1,700万円──である。
本業たる教育研究活動に予算を増やすのは良いことだ。だが、見落としてはならないのは、附属病院を有する大学の事業活動収支計算書では、その「教育研究経費」のなかに「医療経費」が含まれていることである。つまり、病院はここでは治療を行うところというより、医学者や医者の卵たちの「教育研究」の場として表れているのだが、それはともかく、朔執行部は本年度、「医療経費」として前年度予算比18億4,800万円増の168億1,500万円を計上している。
一方、医学部・病院部門以外の学生・教職員の教育研究活動にはどれだけの予算を充てられるのかといえば、「教育研究経費」から「減価償却」と「医療経費」を差し引いた額、すなわち、前年度予算比でたった6億6,800万円増の153億4,000万円。“医学部・病院部門はこれからガンガン稼ぐのだから、その分医学部・病院部門でガンガン使う。文系学部や医学部以外の理系学部は、その残りを分けてやる”とでも言わんばかりである。
そして、おそらくそれこそが朔学長の望む福岡大の在り方であろうとは、本年度予算と合わせて示された、向こう10年間の「中長期事業活動収支予算」からもよく見てとれる。
ここからは次のようなメッセージが汲み取れよう──学生数増加はあきらめたが、せめて収容定員数ぐらいは確保するとして、学納金収入と補助金収入は現状維持とする。一方、「医療収入」は10年間で23.6%、金額にして約105億円の増収を目指す。こうして分母=経常収入計を大きくすれば、人件費が微増(病院部門は多くの人員を必要とする)でも、その抑制が長らく課題となってきた人件費比率を下げることができるだろう。
教育研究経費は20%以上、約80億円増加させる。ただし、そのうちの7割、約55億円の増加分は「医療経費」に充てさせてもらう。減価償却もこれからどんどん嵩むから、学部へのそれは2億円弱ほどしか増やせないが、文句はあるまい、福岡大はこれからメディカル部門が稼ぐのだから。
(つづく)
【特別取材班】
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