【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(33)】「『命ファースト』終了」でガンガン稼ぐ!?──令和5年度予算と中長期計画(5)
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新学期がスタートした。福岡大学でも4月1日、入学式が執り行われ、4,820人の新1年生がキャンパスライフを送り始めたところだ。これに先立ち、執行部は令和5年度の予算編成を行っていたが、3月30日の理事会および評議員会にて承認されたもよう。令和4年度の決算見込と向こう10年間の中長期計画も示された。そこに浮き彫りになる「学長のビジョン」とは…。
医学部棟や病院建設に大学資金を集中投下
学長という地位は、それに就いた者に、その大学の特性や歴史もふまえつつ、全体の利益と発展という観点から舵取りすることを要請するもの。そこに託された強大な権限は、学長の個人的願望や利益を叶えるためのものではない。
とくに福岡大は、1934年に「福岡高等商業学校」として設立されて以来、学部を増やしながら若者の幅広い関心に対応し、地元の人材育成に大きく寄与してきた総合大学である。学長には専門を超えた見識と慧眼、そしてバランス感覚が、どこにもまして求められよう。
ところが、朔学長は自身の出身母体である医学部と病院部門に大学資金を集中投下し、その発展だけに目を向けているようだ。このことは、このたび朔執行部が打ち出した「中長期投資計画」を一瞥してもよくわかる。
表に示した通り、福岡大が目下抱えている投資案件は、事業費1億円以上のものだけで総額803億7,100万円。その75%に当たる608億1,700万円が、医学部・病院部門関係の建設・設備投資である。
最大のものは、事業規模366億4,800万円の「福岡大学病院建替事業」。前執行部で承認されすでに工事が進んでいる事業だが、まだ200億円近く残っているうえ、本年度はさらに1億円の借入を行うらしい。これに加えて、医学部研究棟(本館および別館)の改修工事(合計50億6,000万円)や3病院の情報システム更新事業(合計38億1,700万円)も控えている。
そこへもって、昨年立て続けに承認された、事業費29億9,500万円の「多目的棟新築」と同103億1,500万円の「西新病院移転建替」の2つの大型建設計画である。
「多目的棟」とは、建設中の「福岡大学病院新本館(仮称)」に隣接するかたちでの建設計画が浮上している建物のことである。老朽化した大学1号館に代わるものとして前執行部時代に計画・承認されていた「文系学部棟(仮称)」を、就任直後の朔学長がいきなり白紙撤回。これを烏帽子地区に、しかも清水建設との随意契約で建設するとして物議を醸した、くだんの建設計画だ。全学部生の一般教養科目講義も行えるよう、大教室をいくつも備えるという約束で押し切ってきたが、このたび出てきた図面ではまったく様相が異なるようで、学内はまたもや騒然としているらしい。
そして「西新病院移転建替」とは、昨年春ごろに急浮上、以来不審なまでの用意周到さ、迅速さで押し進められ、今年1月に積水ハウスとの共同事業として落札が決まった、「旧福岡市子ども病院跡地」開発事業のことである。
各事業のスケジュールをみてもわかる通り、朔執行部はこれら医学部・病院部門への大型建設を、令和8年度までに集中して行うつもりにしている。若葉高校校舎建替工事(41億円)や大学新本館新築(30億円)、学内情報システム更新(42億6,300万円)といった、医学部・病院部門以外への投資は後回しにして。
(つづく)
【特別取材班】
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