外苑再開発強行の小池知事への批判が噴出、エセ環境派の素顔露呈
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小池百合子知事に神宮外苑再開発見直しを求める手紙を送った坂本龍一氏の遺志を継ぐ集会が7月22日に外苑で開かれ、約500人が参加した。署名集めなどの反対運動の主唱者の1人、ロッシェル・カップ氏(経営コンサルタント)もマイクを握り、「事業者と政治家と官僚が秘密裡に既成事実をつくろうとした背景がある。樹木が伐採され、有名なイチョウ並木が枯れる可能性がある。もっと慎重な議論、対話が必要だ」と強調した。
事業認可取り消しを求める訴訟の原告でもあるカップ氏は、第1回口頭弁論が行われた6月29日の報告集会でも「東京都は各局面で事業者に有利になるように働きかけている」と批判した。そこで集会後、「元環境大臣で緑がシンボルカラーの小池知事について一言」と聞くと、「白紙撤回をお願いしたい。元環境大臣なので、環境の重要さは十分分かっているはずなので英断をお願いしたい」と期待を込めた。
ただし小池知事は「伐採女帝」(『日刊ゲンダイ』2月23日)とも呼ばれるなど再開発強行の姿勢を続けたままだ。このことを指摘するとカップ氏は「いまは『伐採女帝』と思われるようになってきたので、そういったことは小池知事にとって良くないと思う。名誉を挽回するために見直してほしい」と答えた。
この報告集会には、大田区都議補選(6月4日投開票)で小池知事応援の都民ファ新人候補らを破ってトップ当選した森愛・都議(元都民ファ)も挨拶。「司法の場でしっかりと判断をしてほしいという思いとともに、都知事も議会も専門家の声をしっかりと受け止めなければいけない」と切り出し、「専門家の意見をうかがいながら、都議会で超党派で見直しを求めて取り組んでまいります」と決意を表明をした。
補選で外苑再開発反対を掲げた森愛氏は、小池知事応援の都民ファ候補(落選)が賛成派と指摘する一方、次のような暴露発言もしていた。
「いま全国から20万にも迫る(外苑再開発反対の)署名が集まっているのに、都議会も都知事もその声に耳を傾けていません。私はこの問題、『都民ファーストの視点ならすぐに変えるべきだ』と会派のなかから言ったけれども、『森喜朗さんの利権だから終わったことだ』と言われました。おかしいではないですか。そんな利権なら議会が止めないといけないのです」「この問題、東京都は『民間の開発だ』と言って責任転嫁をしていますが、それは間違いです。2012年、当時の副知事と技官が森喜朗氏の元を訪ねて、東京五輪に向けたスポーツクラスター計画を提案した。まさに神宮外苑は東京都が主導した再開発そのものだからです。東京都こそが責任をもって、計画を見直すべきだと思っています」
この暴露発言を聞いて私は、「『都民ファ』の実態は『自民(利権)ファ』」と確信すると同時に、伐採女帝こと小池知事の化けの皮が剥がれ、「緑の古狸」「エセ環境派」と呼ぶのがぴったりのような気もした。
だが、大田区都議補選で応援した都民ファ候補が敗れて「外苑再開発反対」の民意が突きつけられても小池知事の姿勢に変化はなかった。
投開票から11日後の6月15日には、環境アセスメント分野の国際学会である国際影響評価学会(IAIA)元会長で日本支部代表の原科幸彦・千葉商科大学長が都庁で記者会見。「今回の都のプロセスはかたちだけと言わざるをえない」「科学的な議論が不十分だった」と批判し、審議会に専門家を招いて公開の議論を行うことや、評価書に対する疑義が解明されるまで工事中止を事業者に命じることを求めた。
会見には日本イコモスの石川幹子理事も同席。世界遺産級の文化財が破壊される恐れがあるときに出される「ヘリテージ・アラート」をイコモス本部に要請しようとしていることも発表したが、それでも小池知事は見直しに舵を切ろうとしなかったのだ。
環境アセスの第一人者の原科氏と会見に臨んだ石川氏は、外苑の現地調査で千本の樹木伐採の実態を明らかにした立役者。先の訴訟報告集会でも、現地で撮影したばかりの写真を示し、こんな説明をした。
「(事業者の)イチョウのデータは4年前のもので更新をせずに、『活力度はA』『すばらしいイチョウだ』と言っている。『大変なことが起こっている。ちゃんと調べてください』と何度も言っているのに、やらないまま環境影響評価書が出されてしまった」「イチョウは健全ではない。大変な事態に直面しています」。
国会議員からも小池都政批判の声が出ている。7月5日に衆院環境委員会の委員(自民と立憲と維新)が現地視察したが、報道関係者には非公開だった。視察メンバーの篠原孝衆院議員(立憲)は、こう振返る。
「現地視察をした後、東京都に乗り込む予定だったが、『来てもらったら困る。対応できない』と都が拒否した。小池知事の意向だったのでしょう。環境委員会に参考人招致をしようとした時も、都の担当者は公務多忙を理由に1人も来なかった」
「視察前に石川幹子先生から情報提供を受け、『イチョウの木に異変が出ているところを通るように』と言われていました。それで当初の視察コースになかったイチョウ並木にも行き、葉っぱが赤くなるなど、4本のイチョウが枯れ始めていることも確認しました」
「イチョウの活力度はA(健全)」と古いデータを載せた事業者の環境アセスメントがデタラメであることを、篠原氏ら環境委員会のメンバーは現場で確認していたのだ。
外苑再開発見直しを求める坂本龍一氏のことを環境委で紹介した篠原氏は、最後にこう強調した。「風致地区で乱開発をしてはいけないというのは都知事の権限。だから都知事は止められる。それなのに小池都知事は逃げまくっているのです」。
元環境大臣で緑がシンボルカラーの小池知事に対する批判が高まるなか、これまでの強行姿勢を改めて見直しへと方針変更をするのか。それとも森元首相の利権事業でもある外苑再開発ゴリ押しを続け、「伐採女帝」「自民(利権)ファ」といった汚名にまみれ続けるのか。小池知事の今後の対応が注目される。
【ジャーナリスト/横田 一】
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