中国政府、不動産市場の救済に乗り出す(前)
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中国の不動産市場は不振を極め、物件の売れ残りが急増している。不動産の専門家によると、現存する分と建設中の分を売りさばくのに5年あるいは10年かかるとのことであり、売値や中国経済の見通しにも影響してくるほか、建築材料の国際価格もかなりの打撃を被ることになりそうである。
中国の二線都市(主要都市以外の各省都)の物件価格は、コロナ禍前の2019年と比べてほぼ20~30%値下がりしている。
経済的に豊かである江蘇省無錫市は、以前はm2あたり5万元だった物件価格が今は4万元(約83万5,000円)に下がっている。上海で取材に応じた人によると、所有する市内中心部の徐家匯のマンションを仲介業者で公示して1年が経過し、20%も値下がりしたが買い手がないという。
学者のなかには、「中国の不動産はすでに崩壊しており、日本のバブル崩壊のように、土地や物件が50%値下がりするだろう」との見方もある。
また、値下がりだけでなく、「つくりすぎ」といった問題も抱える。中国の売れ残り物件は2023年末の時点で合計50億m2近くに達しており、100m2に3人家族が住むと仮定すれば、1.5億人または5,000万世帯が入居できることになる。売れ残りがあまりに多いことから、デベロッパーや家主がこぞって値引きに走っているが、販売数量は落ち込む一方である。2月14日に発表された上海鏈家研究院のレポートによると、今年1月、上海市全体の新築物件の成約件数は3,786件で2023年1月より55%減、成約金額は同じく58%減の290億元であった。
不動産業界に対するレバレッジ解消や債務リスクの削減といった策が講じられた2020年以降、新規建設ブームが収まり始め、2023年の住宅販売面積は、ピークだった2021年の15億6,000万m2から40%ほど減って9億4,000万m2となっている。
2020年は、30代で住宅を買える余力がある人口は2億2,000万人だったが、2035年には1億6,000万人以下に減ると見られる。都市部の新築物件の着工率は、2035年までは年間3%ずつ減っていくという。
こうした長期にわたる不動産の低迷で、国際市場で建築材料が不安定な存在になる。新規建設が減ると建材が生産過剰となり、国内企業がやむなく大量の資材を海外に輸出することになって、国際価格に打撃が生じる。
国際通貨基金(IMF)の報告によると、中国は新築物件に対する需要が今後10年間で50%ダウンする見込みである。不動産衰退が予想以上に長引いていることから、IMFは需要を改めて下方修正したのである。
(つづく)
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