中国政府、不動産市場の救済に乗り出す(後)
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Yahooファイナンスによると、中国は人口が減って都市整備も遅れがちになったことで、需要が落ち込んで新築物件がさばけなくなり、売れ残りの急増や空き家率の上昇、さらには未完成での建設中断といった事象も増え続けている。
思睿集団(GROW)のチーフエコノミストである洪灝氏は、アメリカのビジネスニュース局CNBCのインタビューで、「中国の不動産市場は今、長期的な修正をしている。また今の過剰物件を売りさばくには10年以上かかるのではないか」と話している。
洪氏は、「売れ残り具合を見ると、今の販売ペースでいくならすべてさばくのに2年は必要だ。ただし、建設中の物件が今は600万m2分あって、このペースなら全量を売るのに10年以上はかかるのではないか。つまりまとめていうと、市場の修正は長期間続ける必要がある」と述べている。
洪氏はまた、「中国不動産業界は黄金期が過ぎ去り、これからは規模が縮小していく。5~10年経てば会社の数は7万社ほどに減り、15~20年経てば1万社余りになる見込み」とも述べている。
中国では、不動産は経済界全体で重要な地位にあり、GDPの20%固定資産投資額の25%前後を占める。また地方政府の歳入のうち土地の売却額がかなりの割合を占め、北京や上海など主要都市ではおよそ30%、全国平均でも20%前後となっている。
国家統計局によると、2023年は土地の売却による収入が30%以上も減り、このため地方政府の歳入が軒並み悪化して、公務員への給与支給遅延などといった事態まで発生している。
2023年は債務問題か多発し、不動産大手が続々とデフォルト=債務不履行に陥り、物件の販売も価格も大幅減となり、建設中断や値下がりで数多くの家主が生活困難に陥った。政府も市場緩和に向けてさまざまな策を打ち出してはいるか、効果ははかばかしくない。
こうしたなか、中国政府は1月26日に「ホワイトリスト」計画を発表した。不動産政策の大きな方針転換であり、これまでの「自生・自滅」といった傍観状態から、救いの手を差し伸べる立場へと変わるものだ。これはつまり、不動産の債務問題の度合いや中国経済全体におよぼす影響が当局側の当初の見積もりを上回り、手をこまぬけない事態であることを意味する。「ホワイトリスト」に登録されるには、建設工事が進行中であること、貸付額に相当する抵当が存竃すること、事業の前受金に手を付けていないこと、デベロッパーが貸付金の利用や工事完了計画を制定していることなど、いくつかの重要な条件を満たす必要がある。関係者によると、これらの条件は銀行の貸付を安全でたしかなものにすることが狙いという。いい事業なら貸付も安全なものになる。また「ホワイトリスト」の対象は企業でなく事業であって、当局側は企業の救済ではなく物件の引き渡し確保に目を向けているわけであり、ダメな企業はやはり倒産するのである。
中国は今、ひとまず数十か所の都市で「ホワイトリスト」の対象事業が発表された。少ないところでは数十件、多いところでは100件以上である。公式発表によると、1月末現在、26の省・市・自地区で計170の都市が不動産融資制度を設け、「ホワイトリスト」第一弾を発表した。事業数は合計3,218件で、貸付額は少なくとも3兆元(約62.6兆円)以上という。
このような救済策で不動産市場の滑落にブレーキがかかるか、何とも予測かつかない。
(了)
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