中国政府、不動産市場の保証策を発表(前)
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中国は、「輸出」「投資」と並んで経済成長を支え続けてきた3本柱の1つである不動産が、コロナ禍の後でにわかに下り坂をたどり、市場が崩壊状態になってしまった。
2023年は上海、北京、深センなど大都市で不動産価格がほぼ30%も下落したほか、マンションを買って支払いも済ませたがデベロッパーが経営困難で建設不能となり、入居できなくなっている世帯が2,000万世帯以上に達している。「建設中断」の建物が急増し、不動産各社が次々と倒れ、社会的な不安感も巻き起こしている。
不動産会社が資金難で存続できなくなった上、値下がりがひどくて家が投資の対象外となり、販売が大幅に減ったほか、新築物件が減ったことで公的な土地の売却ができず、「土地財政」(土地の売却代を財源とする)に頼っていた地方政府は歳入が大幅に減り、職員への賃金すら払えないという事態も起きている。
さらにこのような極度の不動産低迷は、関連する60余りの業種に波及し、鉄鋼、セメント、建築材料、建設機械などは需要が大幅に落ち込んだほか、家電やリフォーム業者なども不振に陥り、製造業が痛手を被っている。
政府は不動産市場を救い出す多数の策を打ち出しているが、効果は薄い。諸葛データ研究センターの調査では、5月の大型連休中(5月1~6日)、北京、上海、広東省深セン、湖北省武漢、江蘇省南京など主要12都市の新築物件の成約数は2,133件で、2023年同時期の4,434件を52%も下回った。
この影響で、業界では各社がバタバタと倒れている。雅居楽集団は5月14日、13日まで猶予されていた3.4億ドルにのぼる債務の利息の支払いができず、国外債務の返済もすべて不能となったと発表した。
国家統計局が4月中旬に発表したデータでは、3月の時点で、中国全体の未売の分譲住宅は過去最高となる7億4,800万 m2である。
「行き詰まり」状態を脱却するすべは何か。
5月17日、午前に国務院で物件の引き渡し問題に関するビデオ会議が行われ、昼には中央銀行、金融監督管理総局が、頭金最低割合の引き下げ、住宅ローン金利の下限撤廃、住宅用積立金貸付金利の引き下げという3つの緩和策を発表した。さらに午後には国務院の定例記者会見で、売れ残り住宅の売却に向け、公営住宅用の貸付保証として3,000億元(約6.5兆円)の予算計上が発表された。
政府によるこれら一連の不動産刺激は、狙いとして以下の3点が挙げられる。
一、購入意欲の引き上げ
住宅購入時の頭金の最低割合について、これまでは1軒目が20%で2軒目が30%であったが、これをともに5ポイント引き下げて15%および25%とした。またローンの金利の下限を撤廃し、住宅用積立金の貸付金利を0.25%引き下げた。購入時の負担を軽減することで、買いたい、という気持ちを高めるものである。二、国有企業による売れ残り物件の購入を支援
地方政府は地元の国有企業に対し、売れ残っている分譲住宅について、公営住宅用として適切な価格での購入を促す。これに向けて、中央銀行で貸付保証として3,000億元の予算を計上し、金利は1.75%とする。この政策の実行により、5,000億元にのぼる銀行貸付が生じる見込みである。三、売却済み土地の買い戻しを許可
現在未開発または着工済み未完成の土地について、政府の買い戻しや買収、市場ルートでの譲渡、企業の開発継続などで適度に動かすかたちで、経営難の不動産企業支援や債務の軽減をはたす。(つづく)
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