参議院と八女市長選挙に二股かける?~立憲・野田国義氏の戦略(1)
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2009年の政権交代選挙以来となる野党への期待が高まる中、4月末の衆議院3補選、5月の静岡県知事選挙と野党第一党の立憲民主党は、不戦敗も含めて連勝を重ねている。福岡においても、次の議席をめぐって駆け引きが繰り広げられている。
3選への道か、市長選か
3月9日、参議院福岡選挙区(改選数3)で2期連続当選している立憲民主党の現職・野田国義氏が、3選を目指して立候補する意向を表明した。
定期的に開催されている同党の常任幹事会の後に、集まった報道陣に対して明らかにしたものだが、翌日の西日本新聞などが報じた。
だが、野田氏の地元・福岡県八女市では、額面通りには受け止めた人は少なかった。
ある八女市議会議員は「上手ですよ。新聞に書かせて。もし参議院がだめなら、八女市長選に出るシナリオではないか」と語った。
野田氏は、1993年、34歳で八女市長選挙に無所属で出馬し、初当選した。全国最年少市長として「八女のクリントン」と呼ばれた。その後4期15年8か月にわたり市長を務めている。
2009年に、市長を辞職し、国政に転じてからも、地元の八女市を中心に県南に基盤を置いてきた。現在でも、八女を中心に熱烈な野田氏の支持者がいる。かつて野田氏が秘書として仕えた古賀誠元自民党幹事長とは、疎遠どころか、選挙でも骨肉の争いを繰り返し、市長時代も対抗馬を擁立されたこともある。
野田氏自身、様々な思いがある八女に愛着があるからだろう。福岡市にあった事務所を閉鎖し、八女市内に福岡事務所を置いている。
当選が目的か、初心の志か
ただ、そうした思いを同じ党の誰もが理解しているわけではなく、福岡都市圏や北九州はどうなるのかという声がある。野田氏に代わる人を国政に送りたいという声が出てくる。
公平を期したいので、述べておくが、現職県議や市議の中にも野田氏に近い議員もいる。そうした方々は「野田先生にお世話になってきた」と語る。決して面倒見が悪いのではないのだろう。野田氏を慕う地方議員は、若手に多い。党員拡大も野田氏が増やした数は多かったという。
一方で、立憲の前身、旧民主党の慣例では、「3期はない」と同党時代からの関係者は語る。
自民党の長期政権をみてもわかるように、長く政治をやっていると、いろいろな綻びが出てくる。当選した頃の青雲の志は、いつのまにかどこかへ行ってしまい、当選することが目的になってしまう。これは与野党問わない。そうなると、そろそろ交代させるべきだという声が出る。
そうした風当たりがある中で、野田氏は、今回、自身の秘書を、地元八女市などを選挙区とする福岡7区から立候補させる決断をした。だが、一番慎重にならなければならない「身体検査」にぬかりがあったのだろうか。この野田氏秘書はかつて市議を務めていた時代に、「社会的に問題のある団体」との関係があったことが取り沙汰されている。
ところで、野田氏について、ある関係者は「秘書擁立は、野田氏の焦りではないか」と指摘する。参議院3選が、県連の中でもし難しくなった場合、もう一つの選択肢があると指摘するのが、先述の市議らである。
11月に八女市長選挙が行われるが、現職の三田村統之市長は、5月8日で80歳を迎えた。三田村氏ではあまりにも高齢すぎるとして、一部の関係者は次期市長をめぐって、若手官僚が立候補する準備を進めているという。もし、参議院が厳しいのであれば、野田氏は状況を見ながら市長選に打って出るとの見方が、八女市内を中心に広がっている。
秘書を地元選挙区から出すという情報を出すことは、野田氏にとって、事前運動的な効果をもつ面がある。まだまだ野田氏の知名度は、八女では高い。もしもの際に、市長選に転じることも可能だ。
二股をかけるようなことは、よもやないと思うが、政治の世界は、なんでもありが現実だ。有権者もしっかり注視していく必要がある。
【近藤 将勝】
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