日系自動車メーカー、中国で「存亡の危機」に(後)
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ホンダ中国が1,700人の
早期退職者を募集日系車はもはや中国で、「存亡の危機」に立だされている。ここまで追い込まれた理由について、まず中国は政府の後押しを受けて電気自動車 (EV)が急速に普及しており、これを受けガソリン車の生産や販売が急減している。次に日系車はEVの開発や製造が遅れていて、いまだに中国でガソリン車を中心とした生産や販売をしていることから、販売台数が急降下している。
中国で売上不振となったホンダが、現地の正社員のなかから好条件で1,700人の早期退職者を募集すると報道した。この割合はホンダの中国合弁企業における全正社員数の14%にあたる。またこの前に、三菱自動車が中国での生産停止を発表している。
また日産自動車は、2023年の中国での生産量が24%減の79万3,000台で、2018年の156万台から半減した。2024年は生産をさらに30%減らす予定である。
日系各社は、世界的には販売台数を大きく落としてはいないが、中国はなにしろ主力市場であり、全世界の販売のうち中国の占める割合は、トヨタがおよそ30%、ホンダが20%、日産が20%である。また会社全体の利益については、これら大手3社は中国の占める割合が1~2割となっており、中国での売上減が続くとそのまま業績に響く。よって、そう簡単に中国に「別れを告げる」わけにはいかない。
日系各社の対応策は様々
ホンダはすでに、2025年に発売するEVにファーウェイが開発したディスプレイを導入することを決めている。中国の技術を使って中国市場での復活を探るものである。
また日産は、東風汽車集団との合弁である完成車工場8カ所について業務調整をはかり、東南アジア向けの生産基地に改めていく。
中国での存在感が弱まっている日系車のなかで、トヨタなどは北米や東南アジアでの生産力をアップして現地での販売拡大を続けるかたちで、中国での落ち込み分を補っていくと表明している。
中国のEV普及にどう対応するか。
ホンダの三部敏宏社長は5月16日の記者会見で、「長期的に見てEVは着実に伸びていくので、強力な事業基盤を築かなければいけない」と述べた。EVやソフトウェアの開発へ2021~2030年の10年間で10兆円(およそ5,000億元)を投資するという。
またトヨタも、2023年までにEV関連に対して5兆円(約2,500億元)の追加投資をすると発表しており、日産もここ5年間で2兆円(約1,000億元)の追加投資を発表した。大手3社はEVの開発へ投資を拡大することで、中国の新興EVメーカーに肩を並べ、販売台数の確保を目指していく。
トヨタの佐藤社長は5月の年度決算報告会で、中国問題について「しのぐことが数年続くことになる」と述べている。
では、トヨタが中国で起死回生をはたし中国メーカーに奪われたシェアを取り戻すにはどうすべきか。佐藤社長は明言をしなかった。ただし今後、EVの開発や生産を強化せず、生産コストや販売価格をできる限り低減しないようであれば、中国での勝算が一段と薄れることになりそうである。
(了)
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