2025年02月03日( 月 )

2024年下半期 福岡市の開発動向(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

100戸超が減少

 福岡市内に設置された標識情報を基に、市内における2024年下半期(7~12月)の開発動向を追った。共同住宅(木造を除く)の計画戸数は4,300戸で、24年上半期(1~6月)比で480戸の減少となった。上半期は総戸数100戸超の計画が13棟だったのに対して、下半期は6棟と半減以下になったことが響いた。

 100戸超の計画は、東区が1棟、博多区が2棟、中央区が3棟。東区ではスターツ九州(株)による(仮称)福岡高等技術専門校跡地有効活用事業(ワンルーム66戸、ワンルーム外117戸)、博多区ではサムティ(株)福岡支店による(仮称)福岡市博多区博多駅東3丁目(ワンルーム40戸、ワンルーム外60戸)、中央区では積水ハウス(株)福岡マンション事業部と九電不動産(株)による(仮称)荒戸3丁目開発計画(ワンルーム外162戸)などが計画されている。

 上半期比で計画戸数が増加したのは、市内7区中4区。とくに中央区では1,106戸が計画され、22年下半期以来2年ぶりの1,000戸超えをはたした。福岡市地下鉄・七隈線沿線エリアにおいては、城南区の開発は依然盛り上がりに欠けるものの、早良区の計画戸数は上半期比で169戸増となるなど、同じ七隈線沿線エリアでも明暗が分かれた。早良区は空港線沿線エリアの西新、室見、藤崎も擁しており、今回の計画戸数の増加は同3エリアにおける開発によるところが大きいものの、七隈線沿線エリアの野芥、賀茂、次郎丸でもマンション開発が増加した。

 博多区の計画戸数は上半期比で減少。それでも、21年以降は計画戸数が1,000戸を割り込むことはなく、7区内でも高い水準を維持している。博多駅に近い博多駅東、博多駅南や西鉄の新駅・桜並木駅にも近い寿町、東雲町など、駅周辺エリアでの開発が再び活況を呈したほか、石城町や祇園町など、博多旧市街エリアでの開発も活発化するなど、中心部への回帰が目を引く下半期となった(【表1】参照)。

表1 共同住宅(木造除く)の開発動向

 マンション以外では、日鉄興和不動産(株)による(仮称)博多祇園町ホテル(S造・地上14階建、延床面積4,705.41m2)や(株)福葉による(株)福葉ホテル(RC造・地上7階建、延床面積604.93m2)など、上半期に引き続きホテル開発が散見された。このほか、NTSホールディングス(株)(東京都港区)によるNTSホールディングス福岡オフィス(S造・地上7階建、延床面積4,430.46m2)、ENEOS不動産(株)(神奈川県横浜市中区)による福岡市博多区古門戸町オフィスビル計画(RC造・地上9階建、延床面積2,123.29m2)など、県外企業による拠点開設も進む。

 病院や診療所、有料老人ホームの計画件数は、大和ハウス工業(株)九州支社による(仮称)六本松PJ介護施設(RC造・4階建、延床面積4,300m2)など6件。倉庫開発の計画件数は、吉田海運ロジソリューションズ(株)(長崎県佐世保市)による吉田海運ロジソリューションズ(株)蒲田2丁目倉庫(S造・地上1階建、延床面積5,894.54m2)など、改修や建替えを含め4件だった。

 地域医療構想で定められた必要病床数の実現に向けて、今後も無床の診療所に対する需要は相応に見込まれる。EC市場の成長にともなう物流倉庫への需要も同様で、関連施設の計画は断続的に続いていくものと推察される。延床面積の合計は24年上半期比で8万4,788.95m2増となり、市内ではマンションにとどまらず多彩な物件開発が進んでいることがわかる(【表2】参照)。

表2 延床面積で見る共同住宅以外の開発動向

(つづく)

【代源太朗】

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事