M&A市場の健全化へ 支援機関初の登録取消し処分
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中小企業庁は1月24日、不適切なM&A取引への対応を強化するため、新たな措置を発表した。これは、「中小M&Aガイドライン」の遵守を徹底し、企業買収・合併における公正な取引環境を守ることを目的としている。
不適切なM&A支援機関への厳格な措置
今回の対応では、不適切な譲り受け側とのM&Aを支援した1社に対し、登録の取り消し措置が講じられた。(株)M&A DX(旧・(株)すばる/東京都港区/牧田彰俊代表)は、資金力に疑義のある買い手であることを認識しながらM&Aを成立させたとして、「中小M&Aガイドライン」が求める善管注意義務に違反したと判断された。加えて、全国47都道府県に設置されている「事業承継・引継ぎ支援センター」においても同社との連携を停止した。
【(株)M&A DXに対する登録取消しは、2025年1月24日から 欠格期間:8カ月】
また、同様に不適切なM&Aを支援した6社に対しては、登録の継続条件として不適切な譲り受け側の排除を徹底するよう注意が発出されている。適切な対策が取られない場合、来年度以降の登録継続を認めない方針が示されており、これらの企業と公的機関との連携も一時停止される。
すべての登録M&A支援機関へガイドライン遵守を要請
昨年10月にも不適切な譲り受け側とのM&Aを支援した15の登録M&A支援機関に対し、注意の発出とともに、適切な対策の検討・実施の指示が出されていたが、今回の措置ではさらに強化された要請が全登録M&A支援機関に向けて行われた。「中小M&Aガイドライン」の遵守を徹底するよう求められ、違反があった場合には登録取消しなどの厳格な対応が取られることが改めて通知されている。
M&Aを検討する中小企業への注意喚起
中小企業庁は、M&Aを検討する企業に対しても注意喚起を行った。具体的には、M&A支援機関を選定する際には「M&A支援機関登録制度」の登録機関から選ぶこと、支援機関の手数料体系や支援内容を事前に確認することを推奨している。
また、契約前には支援機関の手数料体系や報酬基準、発生タイミングをしっかり確認することが重要であると強調。さらに、不明点があれば「事業承継・引継ぎ支援センター」や士業専門家への相談を活用し、複数の支援機関を比較検討することも推奨されている。これにより、M&Aにおけるリスクを低減し、適切な取引を実現することが求められている。
公正なM&A市場の確立へ
M&A市場の健全化を図るため、中小企業庁は今後も厳格な監視を続ける方針を示している。とくに、中小企業の事業承継においてM&Aがはたす役割は大きく、適切な支援体制の確立が不可欠である。公正で信頼性の高いM&A市場の実現に向け、関係各所との連携強化が今後も進められていくだろう。
【松本悠子】
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