「ウイルスシャットアウト」で東亜産業に課徴金納付命令も、今さら感あり
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30日、消費者庁は(株)東亜産業(本社:東京都千代田区、深井昭匡代表)に対し、景品表示法に基づく課徴金納付命令を発出した。対象となったのは、同社が販売していた「ウイルスシャットアウト」という商品で、本商品の広告表示が不当表示に該当すると判断した。
同社は生活雑貨や化粧品の製造・販売を手がけ、「ウイルスシャットアウト」を自社ウェブサイトおよび楽天市場内の店舗で販売していた。
問題となったのは、本商品を「首にかけるだけで空間のウイルスを除去」できるとするような表現だ。具体的には、自社ウェブサイトでは「流行性ウイルスからあなたを守ります!」「二酸化塩素配合の除去・除菌成分が周囲に浮遊するウイルスや菌を除去します」といったフレーズが掲載され、楽天市場では「塩素成分で空間の除菌」「幅広く・さまざまな環境に最適! 学校 オフィス 病院 電車」などと表示されていた。
消費者庁は同社に対し、これらの表示が科学的に裏付けられているかどうかを確認するため、合理的な根拠を示す資料の提出を求めた。しかし、同社が提出した資料は、商品の効果を客観的に実証するものではないと判断された。また、同社は広告上で「使用環境によって効果が異なります」と注記していたが、消費者庁はこの表示についても「消費者の誤認を打ち消すものではない」と判断した。
その結果、同商品の表示は景品表示法で禁止されている、商品やサービスの品質を実際よりも優れているかのように示す「優良誤認表示」に当たるとして、同社に対して課徴金納付命令が発出された。
売上は5.5億円、課徴金は1,600万円
課徴金の対象期間は2020年2月26日~3月10日で、この間に同社が販売した「ウイルスシャットアウト」の売上は5億5,058万7,562円に上る。景品表示法の規定に基づき、売上の3%にあたる1,651万円が課徴金として算定された。
今回の事例は、コロナ禍で不安に駆られている消費者に対する不適切な広告表示として指摘された事例となる。だが、もはや5年近く前のコロナ禍という特殊な状況下における違反事例であり、処分の今さら感はぬぐえないが、この事例が業界企業のコンプライアンスの向上につながることが期待される。
【寺村朋輝】
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