【福岡市】今年度予算 アセットマネジメント事業とは

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インフラ更新事業 アセットマネジメント

 福岡市の2025年度当初予算案の一般会計は1兆1,128億円で、前年度比2.8%増と過去最大規模となった。市は「まちに『みどり』を」をテーマに、都市機能の充実と環境・防災の両立を主要課題に掲げているが、そのなかで老朽化インフラの更新も重要な柱となっている。

 福岡市の公共施設の多くは、⾼度経済成⻑期や政令指定都市移⾏期の⾏政需要が拡⼤した昭和40~50年代(1965~85)に集中的に整備されたもの。2020年3月末時点で、築30年を経過して⼤規模な改修などが必要になるものが全体で6割を超え、そのうち市営住宅や学校施設では7割を超えている。また、道路や河川などのインフラ施設についても、建設から30年を経過したものが多く存在する。

 これらの改修・修繕等の経費は、年を追うごとに経過年数に応じて増加することになるため、福岡市は08年に「福岡市アセットマネジメント基本⽅針」を策定。施設の更新時期を建設から40年程度と想定して、財政負担の軽減や平準化を図りながら、計画的に維持管理に取り組んでいる。

インフラ更新予算は毎年増加傾向

 アセットマネジメント(AM)分の予算が確認できる13年度以降の推移を見ると、福岡市の一般会計予算が前年度比でおよそ3%程度の増加で推移しているのに対して、AM分の一般会計は年度によって差はあるものの、およそ5~13%程度の増加で推移している。その結果、25年度は13年度比で、福岡市の一般会計が46.5%増に対して、AM分の一般会計は219.3%増、一般会計に占めるAM分の割合も3.55%から7.75%へと膨らんでおり、福岡市におけるAM事業の優先度の高まりを示している。

 以下、主要なインフラ施設である道路橋梁、河川、上下水道、港湾分の予算とそのうちのAM分予算について見ていこう。

 道路橋りょう整備費は92億6,703万円(前年度93億9,144万円)、13年度比20.8%増。そのうちAM分は57億6,715万円(前年度44億1,481万円)、前年度比29.3%増。AM事業では、舗装、橋梁、トンネル、横断歩道、アンダーパスなどを対象に定期点検の結果や路面下空洞調査などを踏まえて予防保全型の修繕を実施する。

 河川整備(浸水対策)費は26億7,555万円(前年度37億207万円)、13年度比8.0%増。

 大雨による河川氾濫防止と浸水被害の軽減を図るため、護岸整備等の河川改修とともに、雨水の流出抑制を目的とした治水池の整備を行う。そのうちAM分は7億7,722万円(前年度10億3,523万円)、前年度比24.9%減。AM事業では、河川管理施設である護岸や、排水機場および水門などの老朽化施設の更新を行う。

 下水道整備費は296億7,400万円(前年度:267億8,900万円)、13年度比38.1%増。下水道サービスを継続的に提供するために、管渠・ポンプ場・水処理センターの老朽化施設を計画的に改築更新する。また、災害に強い下水道を目指し、重点地区を定めた「雨水整備Doプラン2026」や天神周辺地区の雨水対策を強化した「雨水整備レインボープラン天神」第2期事業等の浸水対策を推進し、下水道施設の耐震化に取り組む。このほか、未整備区域の解消や合流式下水道の改善、再生水利用下水道事業の推進、下水汚泥の有効利用や再生可能エネルギーの導入に取り組む。そのうちAM分は175億3,916万円(前年度159億5,117万円)、前年度比10.0%増。AM事業では、テレビカメラによる劣化状況調査を行い、計画的な改築更新を進め、下水管の老朽化に起因する道路陥没事故の未然防止を図る。

 港湾空港AM費は34億8,952万円(前年度42億2,690万円)、15年度比288.9%増。港湾施設の機能確保や臨港地区の交通円滑化のため、老朽化した施設の補修・更新など、適切な維持管理を図る。また、予防保全を踏まえた管理による施設の延命化や、ライフサイクルコストの縮減などでAM事業を推進する。

 水道施設AM費は184億6,178万円(前年度192億4,064万円)、13年度比107.9%増。水道施設の計画的、効果的な維持補修で施設の長寿命化を図りながら、水道施設の維持・更新を実施し、安定給水を行う。配水管は埋設環境に応じた実質的な耐用年数に対応できるように、計画的に更新する。また、水源・浄水場については、夫婦石浄水場設備や南畑系導水管の更新を実施する。浄水場については、乙金浄水場の増強や高宮系送水管の整備などによって再編を推進する。

【寺村朋輝】

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