NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「参院選で〈消費税率5%〉以上の減税を公約として明示する政党、候補者に投票することで、政治の地殻変動を引き起こす必要がある」と訴えた5月21日付の記事を紹介する。
参院選を前にはっきりさせておくべきことがある。それは国民民主党が主権者の選択肢の中心に来ることがあり得ないということ。誰がどのような風を吹かせたのか。消滅間近だった政党が息を吹き返した。しかし、この国民民主人気が沸騰する理由がない。
5月21日の党首討論。国民民主の玉木雄一郎氏が、「先ほど、新しい大臣の下で、コメの値段、必ず下げるとおっしゃった。どのように、いつまでに、5キロいくらまで下げますか。明確にお答えください」と質問。石破茂首相は「米は(5キロ)3,000円台でなければならないと思っております。4,000円台などということはあってはならない。1日でも早く実現する」と答えた。
これに対して玉木氏は「5キロ3,000円台に下がらなければ、総理として責任を取りますか?」と質問。
「これは責任を取っていかねばならないと思っております。下げると申し上げているわけですから。仮に下がらないなら、なぜ下がらないかきちんと説明するのは、政府の責任」と答えた。
玉木氏はプロレスラーに転向した方がいい。「103万円プロレス」に続く「コメ3,000円台プロレス」。コメはつい先日まで1キロ2,000円だった。これが1キロ4,000円に暴騰。コメの値段を下げると言うなら1キロ2,000円に下げると言うべき。3,000円台というのは3,999円を意味する。4,000円を3,999円に下げて手柄になるとでも言うのか。玉木氏は3,000円台という石破答弁を非難すべきであるのに、3,000円台を実現できなければどう責任を取るかなどと発言。党首討論を聴いている者が思わず吹いた。
「103万円の壁」で大騒ぎしたが、2025年度の所得税は前年度比1.6兆円の増税になった。消費税率を5%に引き下げるなら地方分を含めて15兆円の減税。野党が結束すれば実現できた。国民民主党は昨年の衆院総選挙のときだけ消費税減税を掲げ、選挙後は封印。「103万円」に突き進んだが、結果として産み出されたのは〈1.6兆円増税〉である。
ところが、この数字が一切報道されない。メディアは勉強不足だから事実を捕捉していないのだろう。財務省はすべて認知しているが説明しない。この所得税増税に全面協力したのが国民民主党。水面下で財務省と手を握っている。だから、国民民主党は参院選の投票先候補に入らない。国民民主党への投票は自公への投票と同じ。立憲民主党もダメだ。国民民主と立憲民主は〈ザイム真理教〉。
コメの値段は1キロ2,000円に下落させる必要がある。政府に1キロ3,999円を求める野党は終わっている。コメの値段が上がってもコメの生産者の〈手取り〉は増えない。流通業者が小売価格暴騰による利ザヤを総取りしている。
日本のコメ農家の時給は10円。とてもやっていける水準でない。政府がやるべきことは三つ。
第一は小売価格の引き下げ。
第二は農家の手取り所得の引き上げ。
第三はコメ自給体制の維持。
農家が存立できる水準にコメの農家からの買い取り価格を設定する必要がある。
※続きは5月21日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「国民民主のコメ3999円プロレス」で。
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質疑応答 午後4時半~5時15分
出版記念パーティー(軽飲食付き) 午後5時15分~6時
〔講師〕
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〔参加費〕
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〔お申し込み先〕
専用フォームあるいはTEL、FAXにて
▶ 専用フォーム
TEL:092-262-3388
FAX:092-262-3389
主 催:(株)データ・マックス
※当セミナーの詳細な内容は告知記事にてご確認ください。
<プロフィール>
植草一秀(うえくさ・かずひで)
1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーヴァー研究所客員フェロー、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ(株)=TRI代表取締役。金融市場の最前線でエコノミストとして活躍後、金融論・経済政策論および政治経済学の研究に移行。現在は会員制のTRIレポート『金利・為替・株価特報』を発行し、内外政治経済金融市場分析を提示。予測精度の高さで高い評価を得ている。政治ブログおよびメルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」で多数の読者を獲得している。