沖縄県知事選で旧来型自民党金権選挙が復活──片山さつき財務大臣は知らんぷり

 三選を目指す玉城デニー知事に古謝玄太候補(自民・維新・国民民主・参政・保守・公明県本部推薦)が勝利した「沖縄県知事選(9月13日投開票)」で、旧態依然とした自民党金権選挙が復活した。有権者の頬を札びらで叩くに等しい利害誘導がまかり通っていたからだ。

古謝新知事    古謝新知事誕生の翌9月14日、政府・与党は2027年度の沖縄振興予算を3,000億円超に増やす方向で調整に入った。その理由は「辺野古移設『容認』知事当選で」(同日の共同通信)。移設反対の玉城知事時代、沖縄県は3,000億円台の振興予算を求めてきたが、22年度から2,600億円台が続いてきた。しかし自民系知事誕生が決まった途端、高市政権は沖縄振興予算の上積み検討を始めたのだ。

 自民党が得意とする旧来型金権選挙が今回の沖縄県知事選でも繰り返されたといえる。同じく与野党激突となった「新潟県知事選」(5月31日投開票)でも、同様の手法がまかり通っていた。三選をはたした自民支持の花角知事の個人演説会で、自民系首長には予算優遇配分をするという主旨の片山さつき財務大臣発言を古泉こういち新潟市議が紹介。そのうえで現職知事への投票を次のように呼び掛けていたのだ。

 「(政令指定都市で)知事と市長が自民党だというのは新潟だけなのです。だからよく片山財務大臣が『新潟にはしっかりと予算をつけやすい。ぜひ、いろいろ皆様方の意見を拾ってもってきてください』という御意見をいただきます。確かに非常にこの新潟、予算をかなりいただくことができています」(6月1日の本サイト記事「高市政権直撃の公選法違反(片山さつき大臣の利害誘導発言)疑惑が浮上」より)。

 片山大臣はこんな発言はしていないと6月2日の会見で否定したが、新潟県知事選でも沖縄県知事選でも同様の手法がまかり通ったのは紛れもない事実だ。古謝陣営は、玉城県政で沖縄振興予算が減額されてきたことを指摘、辺野古容認で国ともパイプが太い自民支援の古謝知事誕生なら予算増額が期待できると訴えていたからだ。

 要するに「自民系知事だと予算がつくが、野党系知事だと冷遇」という差別的対応は、自民党政権が引き継いできた不文律(暗黙の了解)のように見えるのだ。公職選挙法(第221条買収及び利害誘導罪)が禁ずる有権者への利益供与に当たる可能性があるのはいうまでもない。

片山財務大臣

    そこで9月15日の片山財務大臣会見で「野党系知事のときは二千億円台で自民党系知事に変わった途端、増額するのは県民の頬を札びらで叩くような選挙をやったのではないか。差別的対応で不適切ではないかと考えないのか」と問い質した。

 これに対して片山大臣は「この件は私のところまで上がってきていないので答えられない」とノーコメントに等しい回答だった。

 納得がいかないので「報道ではすでに『三千億円台上乗せ』と出ている。野党系知事のときには少なかった予算が、自民系知事になったら上乗せされるのは問題ある対応だと思わないのか」と再質問をしたが、それでも片山大臣は「すべての予算については適宜、予算制度改革のなかで査定がされていく」と問題視しなかった。

 そこで「自民党系知事だと上乗せされるのはおかしいとは思わないのか。それも適切に進めているというふうに大臣は理解されているのか」と再々質問をしたが、片山大臣は「報道の点を承知していないので、それ以上答えることはできない」と無回答状態を続けて事足りた。

 しかし、実際に沖縄振興予算が上乗せされた場合、古謝新知事が公選法違反に当たる可能性が出てくるのではないか。沖縄県民(有権者)の頬を札びらで叩くに等しい金権選挙の横行を許すことになるからだ。

玉城デニー氏    古謝県政を揺るがしかねない火種はほかにもある。9月2日の赤旗が報道した「古謝氏集会千円『飲み放題』」のことで、この公選法違反の疑いについては神戸学院大学の上脇博之教授がすでに刑事告発、事件化する可能性が浮上しているのだ(9月11日の本サイト記事「玉城デニー知事が追う沖縄県知事選──先行する古謝候補に公選法違反疑惑が浮上」で紹介)。

 古謝県政は9月30日にスタートするが、県議会で批判や疑惑追及が相次ぐなど波乱含みであるのは確実。今後も沖縄から目が離せない。

【ジャーナリスト/横田一】

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