菅元首相側近の平原副市長が「竹春クビ取り」(山中市長降ろしクーデター計画)発言
パワハラ問題での山中竹春・前市長辞職にともなう「横浜市長選(10月18日投開票)」の新たな争点としてカジノ再誘致が急浮上した。カジノ推進の急先鋒だった菅義偉・元首相側近の平原敏英副市長が9月20日、山中竹春・前市長のクビを取ると宴席で発言。その様子を撮影した動画がネット番組やX上で拡散し始めたのだ。
市長を支える立場でありながらクーデター計画を口にした平原副市長は5年前の2021年8月、「菅『側近』 横浜カジノ業者から違法接待」(2021年9月2日号の週刊文春)と報じられた人物だ。本人は違法接待を否定したものの、カジノ誘致の中心人物であったのは事実。そのため、カジノ反対を掲げて5年前に初当選した山中市長を失脚させ、カジノ再誘致に踏み切ろうとしているのではないかという疑念が生じることになったのだ。
問題発言が飛び出したのは、横浜市役所の幹部職員だった故・村上実氏をしのぶ会。横浜市中区のローズホテル横浜「重慶飯店」で行われ、横浜スタジアムの藤井謙宗会長や渋谷健・市議や市の局長らが円卓を囲むなか、平原氏が以下のような挨拶をする動画が撮影されていたのだ。
「もう1つ、7月にこいつ(亡くなった幹部職員・村上氏)と約束したことがあって『(山中)竹春の首を取る』、こいつも足立も高井も(パワハラで)結構やられてるのですよ。私もちょっとフォローしきれなかったのですけど、彼(山中前市長)はいま切腹状態なんで介錯するというつもりで、(カジノ推進派の横浜市議の)渋谷先生よろしくお願いします。(参加者から「よし」という声)ということで献杯」
この発言動画を入手、報道関係者に提供したのは、「ハマのドン」こと藤木幸夫氏(藤木企業相談役)の四男の藤木幸吉氏。10月2日の本サイト記事「パワハラ山中市長辞職の横浜市長選『カジノ推進の菅元首相 対 ハマのドン』第二幕か」にも登場。山中竹春後援会の臨時総会後に直撃すると、「またカジノ(誘致)の雰囲気が出てきました。これは断固阻止しないといけない」と答えたが、藤木氏は今回、こうしたカジノ再誘致の目論見を示唆する平原副市長クビ取り発言動画を入手、カジノ再誘致反対の山中市長降ろしのクーデター計画ではないかとして報道関係者に提供したというのだ。
この動画を10月6日に発信したのが、東京新聞の望月衣塑子記者のネット番組「望月いそことオッカ君チャンネル」。「【独自スクープ】横浜市長選の裏側!平原副市長が山中氏の『首を取る』発言?原沢陣営との接点、小泉防衛相も関与か 横田一さんと徹底検証」と題して発言動画を何回も紹介、私と一緒に解説をしたのだ。
翌7日には、週刊現代記者の小川匡則氏が「【横浜市長選】『ハマのドン』息子が決死の告発」(現代ビジネス)と銘打った記事で、平原副市長の衝撃的発言を取り上げた。
また評論家の佐高信氏もX上でこの発言動画を発信。かなり知られることになるなか、カジノ反対の市民団体「市民のための横浜市政を進める会世話人会」(代表世話人 岡田尚弁護士)と「ギャンブル依存症問題を考える会」(代表世話人 田中紀子氏)が9日に横浜市役所内で記者会見。公開質問状を平原副市長と宴席に同席していた渋谷市議に送ったと報告した。続く質疑応答での私とのやりとりは以下の通りだ。
――平原副市長というと、5年前、2021年8月に「菅(元首相)側近」、平原副市長のことなのだが、「菅側近 横浜カジノ業者から違法接待」という記事が出たくらいだから、(元首相の)菅さんの側近としてカジノ誘致を進めてきた存在だと。その平原副市長が「山中市長の首を取る」と(発言したと)いうことになれば、カジノ再誘致ももう一回やりたいのだなと多くの人が思うと思うが、そういうふうに思われたのか。
岡田尚弁護士 おっしゃる通りで、大変な結果だったわけです。それまで何億も使って市として地元の商工会議所を筆頭に経済界と一緒に(カジノを)進めてきた作業を、ぽっと出の山中(市長)が潰したわけだ。これは私が相手の立場でも、冗談じゃないと思う。それが恐らく感情として残っているし、それがある面、客観的な状況(高市政権が大阪に続くカジノ残り二枠の募集を宣言)のなかで(カジノ再誘致の)可能性が芽生えれば、「もう一回やろうではないか」というのもこれまた人間の感情としては分かりやすい。
――(平原副市長発言の)動画のなかでは、7月にもうすでに「(竹春の)クビを取る」という約束を(亡くなった幹部職員と)していたと。かなり前からいろいろ相談というか準備をして山中(市長)降ろしを狙っていたというふうに読めると思うが、その背景として高市政権が大阪に続く(カジノ誘致)残り二枠を募集することがあって、また(カジノ)再誘致に火がついて邪魔な山中市長を引きずり降ろそうとする相談をどうもしていたらしいというふうに、動画を見ると思えると思うが、そういう捉え方で間違いないのか。
岡田尚弁護士 それは横田さんの判断。僕は、そこまで言い切る自信はないが、やはり構図というか、全体の構図を見ると、そういうふうに考えられるのではないかと。僕は7月の段階でのあの表現(クビを取る)というのは、しかも恐らく仕事を一緒にしている局長さんに(クビ取りを)約束をしたと。僕は戦国時代を思い出した。筆頭家老が重臣たちにうちの殿様を変えようではないかということが7月の段階で話し合われていた。「下剋上か」というのが率直な思いでした。
公開質問状の内容は、クビ取り発言の確認や宴席の趣旨やカジノの話が出たのか否かなどであったが、平原副市長は15日現在無回答。平原氏と渋谷市議の携帯電話に取材申し込みのメッセージを残したが、両人からの折り返しはないままだ。
また原沢あつみ候補にも10月12日、横浜駅前で街宣を終えた後に直撃、渋谷市議との関係などについて声掛け質問をしたが、無言のまま走り去った(フランス10の公開動画「原沢あつみ候補に横田一が直撃→親衛隊がブロック+無言で逃走!」参照)。
世論調査では原沢候補優位とされるが、何も答えないまま原沢候補は逃げ切るつもりなのだろうか。ネット上に拡散する発言動画は、「平原副市長の竹春クビ取り発言(クーデター計画)に基づいて渋谷市議が原沢候補擁立に動いたのではないか」という疑念が浮かぶものだが、その真偽が不明確なまま横浜市長選の投票日(10月18日)を迎えようとしている。有権者がどんな判断を下すのかが注目される。
【横田一/ジャーナリスト】









