新生ファミマの難題。日販を引き上げることができるか?(前)
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(株)ファミリーマート(以下、ファミマ)と、ユニーグループホールディングス(株)が9月1日、経営統合してユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)(株)が発足した。
ユニー・ファミマHD傘下のコンビニ(7月末)は、ファミマが1万1,872店、(株)サークルKサンクスが6,251店で合わせて1万8,123店。(株)ローソンの1万2,537店を抜き、首位の(株)セブン-イレブン・ジャパンの1万8,860店に肉薄する。新生ファミマの勝算はいかに?既存店の日販の上昇が統合成果のカギを握る
「規模の拡大は質の拡大につながる。新生ファミリーマートとして質を高め、新サービスを提供していきたい」。持ち株会社の社長に就いた上田準二・ファミマ前会長は9月1日に開いた記者会見で、こう強調した。
コンビニ業界では、セブン-イレブンが商品開発でリードする。規模を背景に、メーカーなどと有利に交渉をしてきたことが大きい。この状況を打開するため、ファミマはユニーとの統合を決めた。規模を生かして、商品開発力や物流効率を高めるのが狙いだ。
まず手始めが、不採算店の閉鎖。店舗の重複を理由に、サークルKサンクスの店舗を19年2月末までに1,000店を閉店・移転する。
次は、日販の引き上げだ。コンビニは欠品による販売機会の損失は少なくない。フランチャイズ(FC)加盟店が発注の際に廃棄ロスを嫌い、発注が慎重になることが一因だ。販売機会の損失をいかに削減するか――。新生ファミマの成否は、既存店の日販(1日1店舗あたりの売上高)上昇がカギを握る。本部負担を増やして、加盟店のFC契約を見直す
既存店日販の引き上げ策は、コンビニの加盟店との契約の全面的な見直し。ファミマの全国1万1,871店のすべての加盟店と9月1日に契約を切り替えた。サークルKサンクスは19年2月末までにファミリーマートに統一する。店舗ブランドの転換と併せて、契約を見直す。
日本経済新聞(16年7月2日付朝刊)が契約の内容を報じている。
〈新しい契約では水道光熱費について、本部が年360万円までの9割を負担する。弁当などの廃棄に伴う損失も月10万~30万円未満の部分では10%、30~50万円未満では50%、50万円以上では15%を本部が負担する。契約の見直しで弁当などの発注を加盟店が増やすことにより、日販は最低1万円の上積みになると見込んでいる〉
ポイントは、廃棄ロスを一部本部が負担することで、品切れのない積極的な発注を後押しする点にある。弁当やサンドイッチなどの発注を増やせば、廃棄に伴う損失も膨れるが、損失が月30~50万円未満は本部が50%負担する。加盟店には大きな損失をかけないから、どんどん発注して、売ってくださいという意味である。
店舗運営面では、支援策の拡充にかかる原資を確保するため、加盟店から徴収するロイヤリティー(経営指導料)は引き上げる。加盟店が本部に支払うロイヤリティーは、1割程度増える。
新生ファミマの上田社長の狙いが見えてくる。上田社長が言う「質」とは収益力だ。収益力が低いサークルKサンクスの日販を底上げすることで、日販高で独走する業界最大手のセブン-イレブンを追い上げる体制を築きたいと考えているのである。
(つづく)
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