2024年12月24日( 火 )

山口銀行支店長「死の諫言」~西中国信金で借入した下関GC

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下関GCの完成予想図<

下関GCの完成予想図

 下関ゴルフ倶楽部の会員有志は、2014年10月15日、福田浩一理事長(山口FG社長兼山口銀行頭取、田中耕三前理事長(山口銀行相談役)、梅﨑弘毅キャプテン(梅﨑砿業会長)、田口三郎前キャプテン(元林派県議)の4名に対し、債務者である下関ゴルフ倶楽部に『ゴルフ半額プレー』で与えた損害約300万円を支払うよう求めた、社員代表訴訟を提起。現在も山口地裁(下関支部)で係争中となっている。

 しかし、それを無視するかのように、下関ゴルフ倶楽部は翌月の11月26日に、臨時総会を開催。福田理事長は以下の資金収支計画を提示して、「クラブハウスを総工費11億円で建て替える案」を提案した。

(1)年会費を8万円から12万円へ引き上げ、約4,000万円の増収(4万円×約1,000口)
(2)新規会員の募集により6億円の新規収入((入会金200万円+預託金100万円)×200口)
(3)寄付金6,000万円の募集(100万円×60口)

 クラブハウス建て替えはこの資金収支とともに可決承認され、山口銀行と親しい大手ゼネコンの清水建設が受注した。
 追加工事によって総額12億円(坪単価180万円)となったクラブハウスだったが、資金収支は計画通り進まなかったのだ。

<見通しが甘かった資金収支計画>
(1)年会費は約4,000万円の増収となったものの、会員との摩擦を増幅させることになった。
(2)新規会員の募集は2億1,900万円(73口)しか集まらず、計画比約▲4億円。
(3)寄付金はほぼ計画通りの6,000万円。

 上記の通り、資金収支計画は大きく未達。そのため山口銀行で融資を予定していたが、豊浦支店長の「死の諫言」により、急遽、西中国信用金庫で借入することになったというのだ。

<借入の内訳>
(1)4億5,000万円(15年の分割弁済)
(2)短期借入金3億5,000万円
(3)不動産担保については差入したかどうかは今のところ不明

 下関ゴルフ倶楽部は、長短に分けて8億円の借入をした理由として、短期の借入金は未達成の新規会員の募集127口を勧誘すれば(3億8,000万円)となり、返済できると説明。
 しかし消息筋によると、「下関ゴルフ倶楽部は、理事長ほか3名が会員と裁判となっている。そのうえ年会費が12万円と高いため、新規の募集に応じるには、かなりの覚悟が必要となる。いかに名門ゴルフ場といえども赤字経営が続いており、長期の分割弁済も厳しい状況。バックに山口銀行が控えているにせよ、ひょっとすると会員権は紙くずになる恐れもあるのではないか」と語った。

山口銀行「支店長」の自殺~死を招いた定款変更(後)  9月30日付(Net IB news)
問題のクラブハウスは9月3日に仮オープンしているが、残金約10億円の支払い期日は10月28日。はたして中部氏は理事長を引き受けるのか。それとも断るのか。残り一か月の間にどのようなドラマが展開することになるのだろうか。

完成間近のクラブハウス 8月撮影<

完成間近のクラブハウス 8月撮影

 着工から1年余り経過した今年9月3日に、クラブハウスは仮オープン。奇しくも前日の2日、山口地裁下関支部において、「ゴルフ半額プレー訴訟」の証人審問が行われ、原告1名、被告側2名の計3名の審問が実施されており、明暗を分ける下関ゴルフ倶楽部の実像が透けて見える。

 山口銀行支店長の自殺により、西中国信用金庫で借入するというドラスティクなドラマが展開。工事代金の残金10億円は、期日の10月28日(金)に清水建設に支払われた。

 山口銀行が私物化したことにより、混迷度合いを深める下関ゴルフ倶楽部。はたして福田理事長が、創業家の中部哲二副理事長に『大政奉還』を引き受けさせることができるかどうか。今まさに、政権を投げ出した徳川慶喜(徳川幕府第15代将軍)の心境なのかもしれない。

【北山 譲】

 

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