電子の目であるイメージセンサー(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
さて、イメージセンサーの市場だが、この市場ではソニーが圧倒的な力を持っている。ソニーは他社に比べ、技術的に2~3年先行しているとされている。ソニーの世界市場シェアは45%で1位、2位には市場シェア19%のサムスン電子、3位には市場シェア10%のオムニビジョンとなっている。ソニーはシェアを守るため、2015年には4,000億円くらいの莫大な投資を実行している。
イメージセンサーの市場は成長を続けており、2021年には約160億ドルの規模に成長することが予測されている。とくに今後は、自動運転車や医療機器、IoTなどが新成長産業として期待されているため、センサーの搭載は爆発的に増加することが予測されている。
サムスン電子もソニーに追いつくため、「アイソセル(ISOCELL)」というブランドでイメージセンサー事業を強化している。アイソセルとは、ピクセル間の間隔を微細化することによって生じる干渉現象をなくし、高品質の画質を実現することを意味するネーミングである。
サムスン電子はまず、自社が強みを持っているモバイル市場を中心に、イメージセンサーの市場を攻略する戦略を樹立している。まず自社のスマホに採用する一方で、中国のスマホメーカーにもアイソセルの良さをアピールしている。サムスン電子はまずスマホ市場でイメージセンサーの地歩を固め、その次は自動運転の領域に食い込みたいと計画している。サムスン電子はメモリ分野では圧倒的な市場シェアを持っているが、システム半導体はそれほど強くなかったため、システム半導体部門の強化を図っている。そのターゲットの第1弾が、イメージセンサーかもしれない。サムスン電子は17年第2四半期の業績発表で、売上高60兆ウォン、営業利益14兆ウォンを明らかにしている。サムスン電子の今回の業績は、インテルを追い抜いて、26年ぶりに半導体分野で世界1位の座に上り詰めたことになる。だが、中国の追撃も激しいので、この状況が長く続くという保証はどこにもない。
サムスン電子は、規模の経済がものをいうメモリの世界から、もっといろいろな技術が要求されるシステム半導体のほうに軸足を移そうとしている。センサー市場をめぐって、日韓の競争が繰り広げられることになる。
ソニーはスマホや監視カメラのイメージセンサーがメインであるが、今後は自動運転車やVRにも領域を広げようとしている。今後、市場はどのような状況になっていくのか、興味津々である。(了)
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