日本ハムと札幌市が喧嘩別れ 新球場、196万人の札幌市から5.8万人の北広島市へ(後)
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部下のセクハラ発言で社長がクビ
日本ハムに新年そうそう、激震が走った。日本ハムは1月29日、臨時取締役会を開き、末澤壽一社長が取締役となり、畑佳秀副社長が社長に昇格させる同日付の人事を発表した。末澤氏は3月31日付で取締役も退任する。事実上の解任だ。何があったのか。
『週刊新潮』(18年2月22日号)が、真の理由は、末澤社長一行による「空港ハレンチ事件」であるとスッパ抜いた。事件が起きたのは、17年10月6日の未明。末澤氏と執行役員のYら4人が羽田空港のVIPラウンジにいた。ここでYが女性アテンダントに「彼氏とする時は制服でするのかな?」と発言、「(末澤)社長がシャワーを浴びているから、社長の体、洗ってあげてよ」と畳みかけたという。
事態を重く見た航空会社は10月24日、日本ハムにセクハラについて報告。日本ハムは内部調査で事実を確認し、トップ交代劇に発展した。Yは、コーポレート本部経営企画部長、中央研究所担当の要職を務める。末澤社長は部下のセクハラ発言で引責辞任した。
末澤氏は15年4月に社長に就任。同時に、プロ野球球団、北海道日本ハムファイターズのオーナーに就いた。日本ハム社長と球団オーナーを兼務した末澤氏が、最大の課題として取り組んできたのが、ファイターズの本拠地移転問題である。16年5月、自社所有の新球場をつくることを明らかにした。札幌ドームを保有する札幌市との抗争の幕が上がる。
末澤氏は全力投球してきた新球場問題の最終判断を目前にして、セクハラ問題で会社と球団から去った。札幌市の市長さんは、“天敵”の失脚に溜飲を下げたことだろう。
集客の目玉、大谷翔平選手が去った
日本ハムの2018年3月期の連結決算は、売上高が前期比5.6%増の1兆2,700億円の増収。営業利益は人件費の上昇の影響で520億円と3.3%減の減益だが、最終利益は5.7%増の370億円になる見込み。傘下の北海道日本ハムファイターズから大リーグのエンゼルスに移った大谷翔平選手の移籍金22億7,300万円を収益に計上するためだ。本業の不振を大谷選手が救ったわけだ。
ファイターズの17年の主催試合の観客動員数は208万人。04年に東京から移転して以降では最高で、日本一となって過去最高を記録した16年の207万人を上回った。成績は5位と振るわなかったが、“大谷効果”である。
(株)北海道日本ハムファイターズの決算公告(17年12月31日現在)によると、当期純利益は21億2,300万円、利益剰余金は77億7,200万円と好調。大谷選手が去り、家主の札幌市と大喧嘩して、今後とも好調を続けることができるだろうか。
人口196万人の札幌市から、5.8万人の北広島市への本拠地の移転。大英断か、それとも、大愚行か。日本ハムは伸るか反るかの勝負に出た。
(了)
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