2024年11月24日( 日 )

従来の葬儀のイメージを一新、『ありがとう』の心で顧客と向き合う(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

(株)アートライフホールディングス(天国社グループ本社)

市民葬祭への本格進出へ

 同グループは今後、5会館での事業展開を、より強化しながら、市民葬祭の分野に本格的に進出する。市民葬祭とは、直葬、家族葬、一日葬儀など比較的小規模で行われる葬儀の総称。近年、『最期の見送り方』は多様化している。その背景には、「大規模な儀式ではなく、故人の家族や親族、そして本当の仲間とゆっくりとお別れをしたい」という志向がある。

 国内における平均年齢が男女とも80歳を超え、高齢化が進んでいる。そのため、各人の保有する財産で余生を過ごすには、たとえばこれまで利用していた老人ホームなど福祉施設のランクを下げなければならないなど、日常生活の見直しを迫られるケースが増加しているという。自身の寿命が長ければ、長くなるほど、それだけ支出も増えていくのだ。また、自分の子どもや親族に頼って迷惑をかけたくないという気持ちを大多数の人がもっている。そして、葬儀においても、できるだけ低予算で、ささやかな規模で行うことを、生前から希望する人々が増えつつあるという。残された遺族へ負担を最小限にとどめたいとする、配慮の現れだろう。

 それらに応えるべく同社グループは、福岡市内の各区へ一拠点の市民葬祭会館の開設を実施する。葬儀に対する価値観が多様化するなか、これまで同社グループが長年培った葬祭のプロフェッショナルとしての実績とノウハウを、市民葬祭の事業でも最大限に生かしていくこととなる。

『ありがとう』を心に刻む

 同社は、葬儀における古来の『しきたり・決めごと』によって制約されことに固執せず、遺族の意向を最優先させ、尊重することを重視している。つまり本当の顧客目線で、仕事をつくり上げることに専念しているのだ。人には、それぞれ事情がある。「最期のあり方」が多様化しているなか、一方では「葬式は従来通りであるべき」という価値観をもつ人々もまだ存在する。葬儀に正解はないと言っていいだろう。それぞれの事情や価値観を最大限に受け入れ尊重し、顧客と寄り添いながら最善の葬儀をつくる同社グループ。その姿勢の根底には、同社の「人を尊重する」という理念が全社に浸透していることがある。遺族や親族から「良い葬式でした。本当にありがとうございます」と葬儀後に言われ、ともに涙する同社グループの社員。中井代表は、亡き母親の月命日には必ず墓参するという。その中井代表の温かな心が全社に伝わっている。人々との関わりのなかで『ありがとう』を大切にした姿勢を実践する。

 その『ありがとう』の心を大切にする、同社グループに入社を志願する次世代の人材が増えつつある。新卒者向けの企業説明会やカンファレンスなどの開催時には、必ず中井代表が自らの言葉で、説明会出席者にその理念を伝える。もちろん出席者とのコミュニケーションをじっくりとる。これからの葬儀の在り方、葬儀の仕事についてなど、次世代の方々との対話のなかで、「葬儀の仕事とは、お客さまから『ありがとう』といわれることへの感謝の心が大切になります。その『ありがとう』がやりがいであること、そして仕事の本質であることを伝えております」(中井代表)。その後も内定者とは、月1回の交流会を、その年7月から実施している。コミュニケーション、リレーションを大切にする同社グループの企業風土が、人材採用にも反映されている。

 入社後も、「弊社の若い次世代の社員は、日々奮闘しながら成長しております」(中井代表)と、将来の同社グループを担う人材が活躍する姿は随所に見られる。それは、顧客の声を大切にしながら、より顧客に寄り添うサービスをつくるために、社員間で自由闊達な意見やアイデアの交換、ミーティングが実施され、社歴に関わらず皆が話せる風土が確立されているからである。

 『葬儀屋から総合葬祭業へ』。従来の葬儀業から、新たな価値創造を実現する総合葬祭業として、同社グループは、挑戦と進化を続ける。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:中井 健雄
所在地:福岡市西区姪浜駅南2-20-25
設 立:1987年6月
資本金:2,000万円
TEL:092-883-4949
URL:http://www.tengokusya.co.jp

<プロフィール>
中井 健雄(なかい・たけお)
 1974年7月14日生まれ。福岡市西区出身。イギリスパングボーンカレッジ卒。メリルリンチ証券を経て2001年に天国社に入社。14年6月に代表取締役社長に就任。趣味は旅行、食べ歩き。

 

(前)

関連キーワード

関連記事