鳥取銀行の支店撤退に行政がクレーム~地銀の経営統合にも影響か(前)
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【表1】を見ていただきたい。鳥取銀行(本店:鳥取市永楽温泉町、平井耕司頭取)は8月29日、経営の効率化を図るため、「店舗再整備の実施について」を発表。県内5店舗の移転と1支店を廃止する内容のなかに、同じ日野郡にある日南町の生山支店を隣接する日野町へ移転することが含まれていた。
支店撤退の経緯について
◆「店舗再整備の実施について」の発表前日の28日、鳥取銀行本店の担当者が日南町の増原聡町長を訪ね、来年1月21日、日南町に唯一ある生山支店を撤退。店の機能を日野町の根雨支店に統合するが、支店名と現金自動預け払い機(ATM)は残す旨の報告をしたという。その報告に対し、増原町長は「もう少し早い段階で相談してくれたら、町として存続を支援するなどの対応が取れ、撤退は避けられたのでは」と話したが、鳥取銀行からは「決定事項のため」と告げられたという。
◆8月29日、鳥取銀行は予定通り、「店舗再整備の実施について」を発表。
5億6千万円の定期預金を解約
◆それを受けた増原聡日南町長は猛反発。翌30日、鳥取銀行に預けていた5億6千万円の定期預金を全額解約し、町内にある山陰合銀と鳥取西部農協の支店・支所にほぼ半分ずつ預け替えた。また町職員全員に向けて、給与の振込口座が鳥取銀行の場合は、別の金融機関に変更するようお願いするメールを送信したといわれる。
◆増原町長は地方銀行の状況に理解は示しつつも、「根雨支店までは18kmあり、高齢者には遠すぎる。事前に相談を受ければ、何らかの対策を講じられた。地域に根ざす銀行として顧客をないがしろにしているのでは」と憤り、鳥取銀の口座は税金などの出納用として、普通預金だけ残しているという。
生山支店撤退の背景について
【表2】、【表3】を見ていただきたい。鳥取県および日野郡の人口推移表である。
◆2018年8月1日現在の鳥取県の推定人口は560,852人で、3年前に実施された国勢調査より▲12,589人(▲2.2%)となっているが、日野郡は10,127人で▲885人(▲8.33%)と人口の減少率は高い。日野郡のなかで日南町は4,333人で人口は一番多いが、▲432人(▲9.07%)となっており、人口減少とともに、高齢化が加速している。8月末現在の65歳以上は2,336人で、高齢化率は50.2%に達する。また面積も県全体のほぼ1割と広く、効率が悪いと判断したものと見られる。
安倍総理の三選が決まりアベノミクスは続く。また日銀のマイナス金利政策も継続される。地銀の経営が厳しさを増すなか、経営統合は「待ったなし」の状況にある。しかし、その一歩手前の支店統合に行政が立ちはだかる図式となった。今後予想される地銀の経営統合にも大きな影響を与えることになりそうだ。
(つづく)
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