2024年12月23日( 月 )

「れいわ新選組」ポスター張りに励むボランティア

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ようやく許可を得てポスターを掲示するボランティア(2019.6.2筆者撮影)

 

 山本太郎参院議員がJR新潟駅前で街頭演説した2日、同市内でボランティアによるポスター張りが行われた。名付けて「北信越ポスター隊」。新党「れいわ新選組」がツイッターで呼び掛け、午前10時に6人が集まった。信濃川を渡った繁華街、古町付近の部隊と新潟駅周辺の部隊に分かれ、掲示依頼に各家を回った。

 同市内在住の46歳の主婦は、初めて参加した。「太郎さんの活動に協力してみたかった。お金はありませんが、時間はあるから」と動機を吐露する。

 政治に興味をもったのは、森友学園疑惑での籠池泰典(やすのり)元理事長の告白がきっかけ。参議院中継をライブで見るようになって、山本氏の言動にひかれたという。

 山本氏の印象を「弱者に寄り添ってくれそう。民放の番組で高校生のときから知っていたが、国会では私の言いたいことを言ってくれる。胸がすっきりする」と語り、同党の支持者が増えることを切望する。

 事務所スタッフと一緒に同市春日町の静かな住宅街に入る。「こんにちは、参議院議員山本太郎事務所のボランティアの者ですが、ポスターを張らせていただけないでしょうか」

 インターホンで問い掛けると、スピーカーから声が返る。

 「ごめんなさい、今、出られなくて」
 「では、政策チラシをポストに入れていきますので、ぜひご覧になってください。
 「はい」
 「午後3時半から、駅前で本人がスピーチしますので、顔をご覧になって判断してください」

 経験あるスタッフの滑舌に、新人ボランティアは「プロはすごいです。私もやり方を学びたい」と決して気後れはしてない様子だ。

 しかし、現実はそう甘くない。戸口に出てくれても、「ちょっと勘弁してください。うちの者が留守にしているんで」と断られる。「あのテレビに出てる山本太郎ですか。すごいですね」と応じられても、ポスターの掲示に尻込みされ、「ポストに入れといてください」と閉められる。

 お年寄りの女性が歩いてきたので、チラシを差し出す。「ああ、この男はいい人だ。顔でわかる」と、好感される。「この町内もバスを乗り換えないと古町まで行けなくなった。古町の老舗デパートも潰れて、もう一軒も閉店するのが決まって。なんせ若い人が今、いないもん」と市内の疲弊を連呼する。

 しかし、ポスター掲示を依頼すると、「それはごめんなさい。町内に共産党の元先生がいたので、人間関係が悪くなるので」と固辞された。

 栃木県内に住む55歳の男性は、今回のボランティアが3回目。会社の休みを利用し、土日だけポスター張りを手伝う。しかし、この日は訪ねた家の玄関で、政策チラシを目の前でビリビリと破かれた。

 「『政策のお伝えにうかがいました』と駅前での演説の案内をしていたら、洗礼を受けました。でも、元は営業をしていたので、めげません」と気を取り直す。最後に、スナックのオーナー宅からオーケーをもらった。幹線道路の角地だ。「ほっとしました」と破顔した。

 結局、同班は午前中140軒ほど回り、3枚張らせてもらえた。なかなか骨の折れる仕事である。山本氏も演説前、自らポスターをもって駅南の家々を依頼に回ったが、張らせてもらったのは最後の家だけだったという。

 「全国でこんなに張れなかったのは、新潟だけ」と演説の最後に打ち明けた。しかし、駅前での演説が終わり山本氏とのツーショットの機会が設けられると、聞いていた市民の半数近い150人ほどが長蛇の列をつくって順番を待っていた。実際に話を聞いた市民の大半は、説得されていたように映る。

<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)  

 1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。

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