山本太郎氏がゲノム編集食品の表示を主張、「知る権利脅かされてる」
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れいわ新選組の山本太郎代表は12日、解禁されたゲノム編集食品の開発について、届け出制で表示義務もないことから「知る権利が脅かされている」と問題視し、最低限の対応策として表示の義務付けを主張した。盛岡市内での街頭記者会見で述べた。
ゲノム編集は「クリスパー・キャス9」などのキットを使い、動植物が元来持つ遺伝子の一部を破壊したり、破壊した箇所に別の遺伝子を挿入することで、これまでにない性質をつくり出す。食品への応用が10月に解禁され、年内にも食卓に並ぶ可能性がある。
街頭会見で最初に当てられた同市在住の会社員の男性は、「ゲノム編集技術でつくられた肉厚のマダイや害虫に強い野菜などが安全審査不要と聞き驚いた」と訴え、山本氏の見解を尋ねた。
山本氏は、同技術の応用が一見効率的に受け止められがちな一方で、その影響について蓄積がなく、食品表示義務のない点を挙げ、「消費者が物を買ったとき、中身がどのように構成されているかは、知らされなければいけないこと」と疑問を呈した。
安全面では放射性物質も表示が必要との持論を説きながら、「知る権利が脅かされている。私たちの方針としては、ゲノム編集についても、より多くの情報提供を義務付けていきたい」との考えを示した。
事実確認として、時事通信電子版の10月7日配信記事「ゲノム編集食品、年内にも食卓へ=安全審査、表示義務なくー消費者に懸念も」をモニターに示した後、遺伝子組み換え(GM)との違いを概説した。
GMは遺伝子を入れる場所が不作為なのに対し、ゲノム編集は遺伝子を特定する。たとえば、成長を抑制する遺伝子の機能を止めれば、肉付きの良い魚を養殖できるし、同様にして有用成分を多く含むトマトも栽培できる。
山本氏は「誰がこんなに急いでやらせるのか。米国の特許が絡む」と切り出した。研究目的なら無償だが、商業利用の場合は米国の農業企業が窓口となって交渉する仕組みであることを説明。「特許でさらにもうけていこうという裏側がある」と指摘した。
遺伝子を“入れる”GM食品に対しては安全審査が義務付けられるのに対し、遺伝子を“切る“ゲノム編集食品には安全審査が不要で、厚労省への届けで販売できると指摘。「何が入っているか、怖くないか。たとえば、ポテトチップスにGMが入っていないという話でも、揚げた油がどんなものか知ることができない」と問題視した。
同技術を使った食品について、世界の態度を比較した。欧州(EU)司法裁判所は2018年7月、「遺伝子組み換えと変わらない」と危険視する一方、米農務省は2018年3月、「改変の仕方によっては、遺伝子組み換えである」との判断を示している。
続いて、日本の判断を紹介。環境省は2018年8月、「遺伝子組み換えではない」、厚労省は2018年9月、「従来の品種改良と同じ。安全である」との判断を下している。
山本氏は、「ずいぶん雑な説明。そこまで急ぐ必要があるのか。これをずっと食べ続けた場合に、どういう影響があるのかという知見を積み上げる必要がある」と訴えた。
さらに、国による規制方針の違いを紹介。EUとニュージーランドは、GMと同じ規制、日本とオーストラリアは、規制する場合と規制しない場合がある。他方、米国は規制しない方針であることを示した。
「結局、米国が向かっている方に足並みをそろえていくのでは。少なくとも、自分たちで選ばせてほしい。それが担保されなければ、自分たちの体は守れない。口から入るもの。『安全だ、安全だ』だけでは不十分」と述べ、最低限の対応策として表示の義務付けを主張した。
<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)
1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。関連キーワード
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